社会
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梅雨の夜空に舞う蛍は日中、水辺の葉の裏で静かに身を潜めている。その姿は言わば忍法葉隠の術だ。現代社会では、蛍の生息できる水辺も減ってきたという。それでも、蛍の儚い命を支える条件を満たす美しい水辺は、まだまだたくさん残っている。
武蔵野の地でも蛍の姿は見られる。幻想的な蛍を見かけたある夜。さっきまで飛んでいたはずの一匹の蛍が、自分についてきてしまったため、元いた場所へと大事に返しに行ったことがある。その蛍とは目と目こそ合わなかったが、毅然とした光りには、天才三島由紀夫の眼光さながらの力が宿っていた。武士道の心得を説いた『葉隠』に傾倒していた三島由紀夫は、後に『葉隠入門』副題「武士道は生きている」を著している。
オペラ『金閣寺』を手がけた演出家の宮本亜門氏は、三島由紀夫の人生を演劇的と捉えている。更に三島の人物像に関しては、たくさんの謎を感じているようだ。
確かに三島由紀夫はミステリアスである。例えば、核兵器による人類滅亡の危機を背景としたSF作品『美しい星』では、空飛ぶ円盤や宇宙人が登場している。舞台は飯能市だ。実は昔、飯能市の上空を不規則に舞う、複数の光を繰り返し見かけた。光の色は『美しい星』の中の円盤とほぼ同じだった。三島ほど熱心な観測が出来ていないのが残念だ。
三島由紀夫没後から51年。私達は、儚くも尊き命の一つ一つを紡ぎながら、いまだ霧深き令和を生きている。涙色に滲む初夏の夜空を、束の間照らしては舞う蛍の光に、三島からの祈りが重なる。
葉桜こい
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