トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校に入る前に親がしてはいけない82のこと 第5章 将来のタブー(75)
教育クリエイター 秋田洋和論集
今から将来のことを考えても仕方がないとのん気に構えている
今の子どもたちが世のなかに出ていくときは、どんな社会になっているのでしょうか。我々親世代の頃と比べると、おそろしく情報化が進み、価値観が多様化していて、就職活動一つとってみても、早期化・複雑化しています。最近の大学生は、自己研鑽やインターンシップ、留学など、早い段階から「大学卒業後」に向けた準備を始めなければならず、大学生活を満喫する暇もないという話も聞きます。
大学生を対象に将来の進路について尋ねたある調査結果(注1)によると、
「進路を考え始めた時期」に関する質問では、「大学に入ってから」と答えた比率が45・7パーセントと高い割合を示しています。また、
「やりたいことが見つからない」
と答えた学生が、一・二・三年といずれも30パーセントを超えています。つまり、
大学生のおよそ半分が、入学してからようやく進路のことを考え出す。しかし三分の一の学生は「やりたいことが見つからない」ままなんとなく大学生活を過して、三年経っても方向性を見出せないまま、就職活動に突入しているのです。
自分の適性や興味・関心を見極められないまま就職活動を迎えても、おそらく苦戦を強いられることでしょう。
子どもが将来のことを考えるタイミングは「大学に入ってから」では遅いのです。中学・高校の間に「大学で何をやりたいか」「将来どんな職業に就きたいのか」というイメージをもっておくことが、勉強はもちろんのこと、人間的に成長していくためにも大きなモチベーションとなるものです。
ある日突然「将来について考えてみようか」では、子どもも困ってしまいます。実現する・しないは別として、普段から将来についての意識がないと、なかなか「やりたいこと」は見つけられません。今のうちから「将来の夢」について、どんどん家庭で話しておき、会話しやすい環境をつくっておきましょう。
(注1)早稲田大学学生部 2011年度 第30回学生生活調査報告書
「高校に入る前に親がしてはいけない82のこと」(PHP文庫)秋田洋和より
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