トップページ ≫ 社会 ≫ マンション管理組合に巣食う人たち
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
埼玉県でも都市部を中心に分譲マンションが続々供給され、少し見ないでいると町の景色が大きく変わってしまっていることがある。いろいろな煩わしさがないのがマンション暮らしの利点と思われがちだが、住んでみると意外な問題に直面するものだ。私の友人たちが住むさいたま市内の2つのマンションでの事例を紹介したい。
Aマンションは40年以上前に分譲され、当時としては大型で駅にも比較的近いこともあって人気は高かった。1981年の耐震基準改正以前の建設だったため、数年前に建替えが提案され、建替え検討委員会の設立が管理組合総会で承認された。現在、国土交通省が旧耐震基準のマンションの建替えを強く推進しており、制度上でも建替えがしやすくなった。難問だった高齢者への融資については画期的なものが登場している。
こうして大手デベロッパーを事業パートナーとして、建替えの具体像が描かれつつあった。しかし、少数派ながら建替え反対の人々がいた。以前に管理組合や防災委員会、自治会の幹部だった人が中心で年齢は60代、70代ばかり。反対にはそれぞれの事情があるようだが、主導権を奪われた怒りが結束力を高めている。ここ数年の管理組合総会は彼らの怒号で、さながら総会屋が仕切る昔の株主総会のようになった。これが一般組合員を総会から遠ざける結果を招いた。
そして直近の総会での組合役員改選では、建替え反対派は管理規約の盲点をついてきた。それまでの役員数は管理規約上の最低人数ぎりぎりだったが、反対派はそれを上回る人数をかき集めて立候補してきた。役員数に上限の規定はなかったのだ。
建替え賛成でも、強硬な反対派が多数を占めるはずの新役員会のメンバーになろうとする人は稀で、無理に人集めしても泥仕合になるのが目に見えていた。こうして役員会は今までと正反対の方向に進み始めた。
この管理組合の役員経験がある友人は「総会の野次、罵声を聞いて恐怖を感じた人も多く、新役員会への反対意見も出にくい」と嘆いている。
もう一人の友人が住むBマンションは駅前の高層マンションで築後20年ほど。ここでは管理組合の役員は毎年抽選で選ばれ、任期は2年で、その中から理事長が選ばれる。だから理事長以下の役員は2年で交代するが、例外的に長く役員になっている人がいる。マンションの自治会長は自動的に管理組合役員になれるのだが、その自治会長を同一人物が長く務めているからだ。おまけにこの人は自主防災会の会長にもなっていて、こちらの在任期間も長い。
こうなると、マンションをめぐる諸問題についての知識や経験がその人に集積され、会議などでも意見を主導しがちだ。発言などで抑制的な人なら良きアドバイザーになるのだろうが、役職にこだわるような人はそうでない場合が多い。このマンションでも然り。管理組合が毎月発行するレポートにはそれをうかがわせる記述が見られる。みんなが腫れ物に触るような対応をしているみたいだから、増長はまだまだ続きそうだ。
A,B両方のマンションの例を見ると、長く管理組合に絡んでいる人たちは抜け道を見つけては役職に居座り、独善的な管理・運営をしがちだ。そして一般組合員の無関心がそれを許してしまっていることを痛感した。
天津健二
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