社会
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1978年。
「師走のせわしない街を見に行こう」と、父がまだ幼い私を誘ってくれたことがあった。
父の安全運転で、街をゆっくりと一周する。何も食べず何も飲まずの小さなドライブ。
弁も立ち歌好きの父が、珍しく口笛一つ吹かない。今は窓の外へ意識を向けよと言ってくれていたのだろう。
車窓を流れる師走の街並みは、特別なスピード感と立体感に覆われている。この月は特に、人々の悲喜こもごもが、他の月以上に色濃く反映されていることを知った。
目に飛び込んでくる映像に対して、窓越しには捉えきれない音声がある。それを補助的に想像しながら、記憶として脳裏に次々と刻んでゆく。映像と音声は、ずれていそうで実は合っている。それはちょっとしたサイレント映画であった。
ひたすらに前を見つめて歩く人々の足取りが、時を越えて、今もいきいきと響いてくるかのようだ。
2021年。
マスク越しに白い息を吐きながら、師走のせわしない街を抜け、今は免許を返納している父に会いに行く。
葉桜こい
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