トップページ ≫ 社会 ≫ 危惧される水道施設の老朽化と機能劣化
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
東京に産まれ育った筆者は、小さいころからずっと、東京タワーが大好きである。東京タワーは、1958年に竣工して以来、今日まで、4~6年毎に全面的な塗装の塗替えを実施し続けてきている。60年経過した今日でも、健全な状態で電波塔としての全ての機能を完全に保持しつつ、素晴らしい美観をも維持できているのは、この計画的な予防保全の効果が大きい。
一方で、現代の多くの公共の生活基盤施設は、老朽化が進むとともにその機能劣化が大きく課題として浮き彫りにされてきている。特に水道施設におけるこの課題は、今世紀に入ってから20年近くも時折り世間を騒がしてきており、2019(令和元)年の水道法改正の引き金にもなった。そのような中、昨年10月3日、突然に飛び込んできた和歌山での水管橋崩落のニュースは、地震があったわけでもなく、いったい何が起きたのか、何が原因なのか、しばらくは、煙(けむ)に巻かれたような雰囲気にさらされた。更に同じ週の7日午後10時41分ごろ、千葉県北西部を震源とする地震が発生。埼玉県と東京23区で2011年3月11日の東日本大震災以来10年ぶりの震度5強以上の揺れが観測された。そして千葉県営水道の送水管が破損して水が噴き出している映像がテレビニュースで流れた。水道にかかわって半世紀。たった1週間の間に、大規模水管橋での事故が連続発生したニュースに触れたのは、記憶にある限り初めてのことである。全国で老朽化した水道施設が増加している中、これからますますのこうした事故が発生していくことの前兆現象でなければよいがとの気持ちも頭を過った。水道施設の維持管理に関わり続ける者としては、十分な維持管理ができない埋設管路ならいざ知らず、目視点検等も含め、維持管理環境という側面では、絶対的に有利な水管橋において、このような事故が起きたことは、非常に残念なことに思える。
一方で、10年前の東日本大震災時と同じ震度が観測された東京や埼玉のいくつかの水道事業体においては、多くの漏水事故が発生した10年前に対し、今回の震度5強の揺れでは、漏水事故はほとんど発生しなかったとの報告も聞いている。この10年間の適正な方向での維持管理があったからという見方もできる。
2022年、令和4年を迎え、改正水道法で義務付けられた水道施設の予防保全型維持管理の意義を今一度確認し、水道施設における予防保全型維持管理のあり方をこれからも突き詰めていくとともに、全国の水道事業体への支援活動を強化していく年としていきたい。
水上清悟
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