コラム …男の珈琲タイム
利休は茶聖と呼ばれた。しかし、なにせ500年も前のことだから定かなことは知る由もない。まして、利休が秀吉によって腹をきらされた本当のことなぞ、まったくの霧の中だ。利休の死ぐらい謎に包まれ、あまりにも諸説が多すぎるのも珍しい。3月28日。筆者と同じ誕生日が利休忌とされているが、名誉でも何でもない。ただ暗い。権力に近づきすぎた者の悲劇とだけは言えるかもしれない。利休忌の日は利休の涙雨がしとしとと降る。このころの雨は菜種梅雨とも呼ばれる。北原白秋は利休ねずみの雨が降ると書いた。「利休忌や 涙色した 菜種梅雨」と筆者は一句ひねった。おりしもロシアの権力の恐ろしさと、狂走ぶりの今日、泉下で利休の涙はとどまるところをしるまい。
鹿島修太
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