社会
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人間の思考というのは、根本的に敵味方を峻別せずにいられない一面を持っているようだ。ロシアの侵攻開始以来早や3ヶ月、特に直後から、かの国の大統領は気がふれた、またその兆候を示唆するような数多くの報道があったが、少なくともそれが正鵠を得ていたとの証左は上がっていないようだ。またそうした報道に対する検証も行われていない。いわば書きっぱなし言いっぱなし状態のまま、捨て置かれている。
この2月24日のロシア軍侵攻を以て、世界が新たな相貌を帯びたのは紛れもない事実だ。最早世界秩序が以前に戻る事はない。この件についてもまたロシアは国際社会で孤立化の一途を辿っているとの報道が多いが、果たして本当にそうなのだろうか。ロシアは西側の自由、民主、法、人権といったものとは異なる価値観を元に、生き残りをかけて対抗軸の構築を進めていくだろう。これも大国の怜悧な行動原理から導き出される確実な近未来絵図として、我々は認識しておく必要がある。
日本は西側社会の主要国であるから、国家としての方向性はその軸に従うのが最良だ。しかし同時に新世界秩序の複数シナリオ可能性についても見据えておく必要もあるだろう。
理不尽に犠牲となった無辜の民への憐憫の情、また戦争行為の愚かしさに対する腹立ち、この湧き上がってくる感情は人間が生来持ち合わせているものだ。だがこれに寄り添うことなく進んでいく世界の覇を巡る争いも、否応なく繰り返されてきた過酷な歴史的事実である。
いつの世でもその渦中に生きざるを得ない私たちに取って、違う立ち位置から見えているだろう異なる相貌の世界に対する想像力は極めて重要と考える。
他者に内在する論理、価値観を相容れないと突き放すだけでは無く、その依拠する理論を知ろうとする事で、中長期にわたる向き合い方も自ずから輪郭を伴って見えてくるのではないか。
小松隆
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