トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 「心中」は自己否定の欲求の表れ
外交評論家 加瀬英明 論集
それにしても、私が不思議だと思うのは、新聞や、テレビの一家心中のニュースの扱い方である。無理心中(と新聞にのっている)であっても、成功しさえすれば、自分の家族を殺したものも含めて敬称をつけて報道される。「潔い」とか、どこかで自殺を肯定するところがあるのだろう。そして家族は自分の私有物といった概念があるにちがいない。もっとも家族を殺した者が、自分は死にきれずに生き残った場合には、犯罪者として扱われる。
何と呼ぼうが、自殺は自殺であるに変わりないし、一家であれ、二人であれ心中した場合にはなかに殺人者がいることが多いだろう。そこで「心中」とよばずに、「家族殺戮」とか呼ぶべきであると思う。心中という言葉は、もとは情死を意味したのだろうが、どうも美化するようなところがある。
日本人は個人が自信をもっていないので、自己否定の力が強く働いているようである。そこで自己破壊への欲求を心の奥底に内蔵している。新しい生命を生み出そうとする力よりも、否定的な力のほうが勝っているところがある。このような土壌は無気力な、暗い人間をつくりやすい。
個性の時代 ミーイズムのすすめ 8章「母親」としての女性
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