文芸広場
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最期の葉が枝を離れた時
桜の木は全てのドラマは終わったと思った
若葉の時があった
花の時があった
夏は数えきれない程の青葉の中にいた
重なった葉が緑陰を作り人を休ませた
短い夏が終わると全ての葉が様々な彩に映え
春の花盛りの時と同じく通り過ぎる人の足を止めた
人目を惹く花の時も短い時であった
紅葉の時も短い時であった
初冬全てを失ったと思った桜が愕然とした
細かい枝の間に広がる青空があったのだ
葉が隠していたので見えなかったが空は昔からあった
朝の空 昼の空 夕焼けの空
様々な形の雲が現れては消えた
空が消えた夜
次々に現れたのは満天の星空だった
微かに光る星雲は別の世界であった
星の数は失った葉の数より遙かに多かった
一人だけと思っていた醜いアヒルの子は歓喜した
大勢の白鳥の仲間に迎えられたのだ
星月夜 天に差し出された枝の全てに
花のように星の実が輝いていた
山上村人
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