文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
銀杏の木の下で立ち止まった
声がしたのである
声は地を埋め尽くした落ち葉からだった
…言いたくても言えないのです…
…伝えたくても伝えられない場合があるのです…
…今は話す時ではないと思う時があります…
〈どのような神がいて どのような神がいないのか〉
〈この世界に自分がいた意味はあるのか〉等々
在るのか無いのか〇か×では答えられない問題がある
答えが四択も十拓もあるものもある
銀杏の落ち葉はみな同じ形で同じ色
葉は幼児の拳のサイズで
葉書に似ていたが何も書いてなかった
そんなにも聞きたいことがあるのに
そんなにも伝えたいことがあるのに
何故誰も書かないの?
地面に消えかけている一枚の葉に尋ねた
眠りに入る前の切れ切れの言葉が聞こえた
その人は私を忘れていると思います
逢うと嬉しくなる人にも出会いました
春があり夏があり多くの夕焼けをみましたが
私が伝えたかったのは枝を離れる日
その日の夕焼けが特に美しかった
そのこと
山上村人
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