社会
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旧統一教会関連の報道に触れて思うのは、安倍晋三元首相の銃撃事件が起きるまで、なぜこの教団に関する情報が伏せられていたのかということだ。政権与党である自民党との深い関係もその一因か。そのような中で、1987年に弁護士約300人が結成した「全国霊感商法対策弁護士連合会」や、フリージャーナリストの身で統一教会の取材を続けた鈴木エイト氏、オウム真理教と並行して同教会に取り組んできた前参議院議員の有田芳生氏らによって、やっとこの教団の内実が明らかにされ始めた。
1995年に地下鉄サリン事件があり、オウム真理教に世の警戒心が集中したが、統一教会には向かわなかった。しかし、オウム真理教よりずっと前から問題を起こしていたのだ。日本においてのみ霊感商法なる詐欺的行為を行うのは、かつて日本が朝鮮半島を支配したという罪を負っていて、その贖罪のためだという。日本人女性と韓国人男性の合同結婚式もそのためだとされる。もっともこれには、当時の韓国の経済発展から取り残された農村の男性の結婚難という現実的理由もあったという。韓国サイドからすれば都合のいい教理かもしれないが、植民地支配とは関係のない日本の若者たちが犠牲になるのは解せない。
創立者の文鮮明(1920~2012)は日本統治下の朝鮮半島・平安北道定州(現在の北朝鮮)で生まれ、19歳で来日し、早稲田高等工学校などで学んだ。その間、人類救済原理である「統一原理」を見出したそうだ。朝鮮半島に戻ってからはソウル周辺で布教を始めるが、相手にされず、平壌に移って活動したら、逮捕・投獄された。
朝鮮戦争の勃発で釈放され、1954年に統一教会を立ち上げる。そして反共産主義の立場を主張し始め、韓国の政治家たちとの接触を図っていく。日本での布教開始は1958年で、ここでも保守系の政治家に近づいた。安保闘争などで揺れる当時の日本で、反共を看板にして自民党に食い込んでいったのだ。
キリスト教の聖書を解釈し直して、イエスの死は「失敗」とみなし、文鮮明を再臨主としたり、大多数を占める日本人信者からの大規模な集金を正当化するなど、牽強付会は目に余る。こんな教団と手を組んだ日本の政治家たちこそ、贖罪を迫られるだろう。
山田洋
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