トップページ ≫ 社会 ≫ 新宗教の教祖たちの信じ難いパワー
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旧統一教会の問題が浮上したしたことで、宗教について考えさせられることが多くなった。日本には仏教や神道、キリスト教のような伝統宗教ばかりでなく、新宗教と呼ばれる教団がたくさんある。
オウム真理教や旧統一教会といった問題教団を含めて、大教団から無名ながら特徴ある教団まで、発祥、歴史、現状をわかりやすく紹介したのは『日本の新宗教50 完全パワーランキング』(2017年 宝島社)だ。今年2月に亡くなった石原慎太郎の新聞連載を1967年に単行本にしたものを2017年にPHP研究所が再刊行した『巷の神々 上・下』も、後に著者が政治家になって縁が深まった霊友会をはじめ多くの新宗教を取り上げた。
紹介されている教団開祖には超能力者のような不思議な力を発揮する人が多い。「手かざし」といって、その人が病気の人に触れると治ってしまうことが評判になって信者を獲得していく。信じられないような話だが、イエス・キリストも手を触れただけで、盲人の目が見えるようになったというから、昔から宗教にはよくある奇跡なのか。このような教祖は予言もよく当たり、初めて会った人の個人情報もズバズバ言い当てるなどの能力も加わったりする。
手かざしの源流は出口なおとその女婿の出口王仁三郎が興した大本だとされる。戦前に2度も国の弾圧を受け、高橋和巳(故人)の小説『邪宗門』のモデルになった。大本の幹部だった岡田茂吉が独立して1935年に創立した教団は何回かの改名を経て世界救世教となったが、岡田は西洋医学に疑問を持ち、手かざしによる病気治しを説いた。ここから出された『世界救世教奇蹟集』では404病、さらには原爆症を治したという報告もある。世界救世教からさらに分かれていくつかの教団ができ、その中の1つが崇教真光だ。やはり手かざしが布教の中心で「真光(まひかり)の業」と称している。かつてはこの奇跡の霊術は長い厳しい修行が必要だったが、今は3日間の研修で可能になったという。
教団名を市名にしたほどの大教団、天理教。江戸時代の末期に、長男の足の病気に悩む41歳の女性が、修験者と共に祈禱すると天の啓示を受け、以後、安産祈願や病気治しに大きな効果を見せ、信者を増やしていった。石原慎太郎はこのような神の恩寵天啓のパターンをいくつかに分け、何人かの教祖を例にあげて具体的に記している。
教団は時間の経過とともに変質していったり、内部分裂することもよくあることだ。日本最大の創価学会の創立者、牧口常三郎は日蓮正宗に入信し、神道を押しつけようとする国家に抵抗し、1943年に治安維持法違反および不敬罪の容疑で逮捕され、翌年に獄中で死んだ。やはり刑務所にいて45年7月に釈放された戸田城聖が第2代会長となり、組織を再建し、日蓮正宗の信徒組織として会員数を増やしていくが、強引な勧誘が問題視された。戸田が58歳で急死した後に第3代会長になったのが池田大作で、学会内の政治部門を発展させ、1964年に公明党を結党した。その公明党が今や自民党と組んで政権与党入りしている。日蓮正宗ともケンカ別れした。この変節には呆れるほどだが、それが教団を維持拡大させたことも確かだろう。
山田洋
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