社会
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作家のいとうせいこう氏が東京新聞夕刊に月1回で「日日是植物」というベランダ栽培奮闘記を書いている。前回は、やっと秋の訪れを感じた10月前半の夜、ベランダからリーリーとコオロギの鳴き声が響き渡ったという話だった。音量がすさまじく、隣人に苦情を言われるのではと動転したが、驚いたのはマンションの高層階にコオロギがいたことだ。
前にも似たようなことがあったが、その時の住居は6階で、強風に巻かれて飛んできたのかと思っていたそうだ。高層階まで飛ぶのは昆虫の域を超えている。隣人は鉢植えをしていないようだから、ベランダ伝いに来たのも考えられない。
となると腐葉土の袋に卵が混じっていて、それが一つだけ孵化したのに違いない。こう断定すると、一匹の命が哀れになり、どこにいるか分からないコオロギのために、大きめの皿に大根の切れ端を並べ、かつお節を載せてベランダに置いた。
涙ぐましいまでのいとう氏の昆虫愛だが、やはりマンション高層階に住む私も同様な体験をした。今年の春に蜜蜂がベランダに飛んできて、鉢植えの野菜や桃の花にとまっているのだ。地上80メートル余りの所まで飛んでくるのは信じ難い。
いとう説のように園芸店で買った腐葉土に卵が混じっていたのかもしれない。あるいは最初、下層階に飛んできて鉢植えの中に卵を残し、翌春に孵化し、さらに上の階まで達して、そこに卵を残し……これを何年も繰り返して我がベランダまで到達したのではないか。気の遠くなるような後者の可能性も十分有り得る。新築された建物に入居した時には虫は皆無だったのに、20年後あたりからいろいろな虫が出てくるようになったからだ。
虫たちのすごい生命力、繁殖力にはただただ恐れ入るばかり。先日、ついにゴキブリの姿を見つけて戦慄した。以後、手の届く所に殺虫剤のスプレーを置くのが習慣になった。
山田洋
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