社会
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自由民主党と深い関係を保持してきた旧統一教会に対し、政府も宗教法人法に基づく解散命令請求を視野に入れて動き出した。狡猾で執拗な布教活動を続けてきたこの教団も勢力衰退は免れないだろう。だが、政治と宗教の問題はこれで一段落になるとは考えにくい。双方が互いのメリットを求めて手を組むことは旧統一教会以外にもよくあったことだ。
創価学会は1950年代に地方議会を手始めに政界に進出し、参議院でも議席を獲得、1964年に公明党が発足した。当初は日蓮仏教の精神を基にした国家を目指していたが、次第にその主張を抑え、ついには自民党政権に加わり、閣僚の座も得た。自民党としても創価学会票は選挙で欠かせないものになった。
創価学会と対立する新宗教の中には、自公接近に反発して野党支持に回るところも多かった。ただ、宗教教団は唯物論に立脚した共産主義、社会主義の考えと相容れず、保守勢力にくみする傾向も強かった。
戦前から保守色の強い政治運動で知られた生長の家は、1960年代の左派学生運動の興隆に対抗した全国学生組織を結成し、右派の有力学生運動家を多数輩出した。彼らは右派団体の日本会議に連なり、現在も自民党に影響力を保持している。ところが生長の家自体は1983年頃から自民党と距離を置き始め、政治活動を停止し、今や日本で「最も積極的に環境問題に取り組んでいると目される宗教団体」とされている。さらに2020年10月15日付朝日新聞に、当時の菅義偉首相による日本学術会議新会員候補6人の任命拒否を批判する意見広告を教団名で掲載した。
その一方で、ひたすら政治進出を図ってきた教団として幸福の科学が挙げられる。2009年に幸福実現党を結党し、以後、国政選挙では多数の候補者を立ててきたが、いつも全員落選で、地方議会にて議席を得るにとどまっている。だから会員1000万人以上と喧伝されているのは疑わしいかもしれない。
この教団の大川隆法総裁(66歳)は東京大学法学部の学生だった1981年に日蓮やイエス・キリスト、モーゼ、高橋信次らの霊と交信できるようになったという。高橋は教団GLAの開祖で、彼の著作を大川が愛読し、強い影響を受けた。商社に就職した大川だが、1986年に神々や聖人たちの霊が次々に降下し、独り立ちするよう厳命したので、退職し、幸福の科学を設立した。
ちくま新書『現代オカルトの根源――霊性進化論の光と闇』(大田俊寛・著 2013年刊)によれば、初期の幸福の科学では約20冊の高橋の霊言集が刊行されていて、教団はGLAの分派としての性格が色濃かったという。しかし、数年を経て教団が急成長するにともない、大川自身を中心とする体制にシフトされた。大川による1994年の新版『太陽の法』においては、高橋やGLAは霊界の裏側に住む悪魔的存在に格下げされてしまう。
何ともご都合主義な教義に思えるが、この教祖は著書の中で政治的発言も繰り返している。論拠を示した説得性のある意見ではなく、床屋政談調に言い放つ。それが自民党右派の意見と重なるところがある。この手の本を会員が大量に買ってベストセラーにしているそうだから、いやはや……。
山田洋
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