トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 参加することに意義があるパーティ
外交評論家 加瀬英明 論集
この十年ほど、日本でも西洋を真似て、企業の何周年といったパーティや、新しい社長の披露の会とか、さまざまなパーティがホテルで行われるようになっている。私も招かれてゆくことが多いが、たしかに日本のホテルは造作からいっても、パーティの席でだされる酒や、料理サービスからいっても、西洋に遜色がない。かえって日本のほうが贅沢であるし、こういったパーティも、アメリカや、ヨーロッパの場合よりも、はるかに頻繁に開かれる。
日本では、このようなパーティは人々が集まることだけで意義がある。しかし、これが西洋であると、客の一人ひとりがまるでお座敷がかかって呼ばれてきた芸者になったように、さまざまな話題を持ち出して、他の者を精一杯もてなそうと努める。自分を主張しあうのだ。ところが日本では、このようなパーティに出席した場合には、何人か顔見知りの人々と挨拶をかわすほかに、ひとことも話さずにぼおっと立っていただけでもよい。パーティの精神に参加することが重要なのだ。人々が合体して一つのことを念じるだけで、何かが生じたように感じられるのである。
個性の時代 ミーイズムのすすめ 9章「民主主義」に潜むもの
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