文芸広場
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今宵は冬の満月である 嬉しい
誰もが襟を立て俯いて家路に急ぐ
私は幼い日の名を呼ばれてフト立ち止まった
呼ばれた方角を見ると大きな月があった
冬の満月である …春高楼の花の宴 秋陣営の霜の色…
満月を見ていると心の中にも満ちてくるものがある
春の月の宴、秋の月の宴には多くの人が集うが
冬の満月は自分一人と大いなるものだけの宴である
何時の世にも人にも世の幸せは多くない
まずこの世にも人の世の幸せは多くない
まずこの世に生を受けたことに感謝しよう
誰にでも一年に一度この世に生を受けた自分だけの祝い日がある
その日を 何故生まれたのだろうと呟く者もある(かって私も)
止まれ 誰も自分を救う者がないことに気づいたら自分を救おう
幸せは無ければ作ろう
それから私は月一度の満月を祝うことにした
満月の宴は一夜だけではない前後がこれまたいいのです
満月の二日前の十三夜は童画の世界です
時により満月の夜が生憎曇りや雨でもいいのです
見えなくてもお月さまは雲の上には確実にあります
見えて 手に触れてもカラッポのものがあります
心が通わない人の群れである
人と心が通わぬ時は森の木々と話そう
月の夜には一人お酒を飲みます
この世には私の心が通じる誰かが何故かにいるような気がするのです
山上村人
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