トップページ ≫ 社会 ≫ 驚異の霊言出版を可能にした速読術と口述筆記
社会
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日本の新宗教界屈指の信者数を誇る幸福の科学の創始者、大川隆法総裁が3月2日に急逝した(享年66歳)。1986年に設立され、当初は霊能力に目覚めた大川氏を媒介して語られる霊言を学ぶ会だったが、1991年に宗教法人格を取得し、会員が増加するや、彼は地球の創造神「エル・カンターレ」であると宣言するに至る。
この教団の活動でよく知られるのが、東京ドームなどで数万人を集めて開催される祭典と、古今東西の著名人多数の霊言を次々に刊行してベストセラーにしていくことだ。霊言は神や宗教家のものばかりでなく、政治家、宇宙人、芸能人にまで及んでいる。教団に批判的な人物に対する非難としても活用された。霊言の書籍化は一時中断されたが、2009年に再開され、以後600冊以上が刊行された。大川総裁の肉声による霊言は公開収録もされている。
こんな多数の霊言を可能にしたのは彼の読書量によるところが大きい。『大川総裁の読書力』(2013年 幸福の科学出版)という自著の中で、「速読だと時速2000ページ、専門書でも600ページを超える」と自負している。この読書によって蓄えられた情報が霊言の源泉になっているのだろう。さらに口述速記という技能が加わる。文章をパソコンに入力したり原稿用紙に書くのではなく、口頭で語り、それをライターや速記者が書き写すのだ。霊言の主についての知識ばかりでなく、それを最適の文章にする能力が求められる。
プロの小説家でもこれができる人はまれだ。思い浮かんだのは1960~70年代に官能小説で流行作家になった川上宗薫さんだ。純文学で5回も芥川賞候補になった彼が、講談社の文芸編集者の勧めで方向転換したら、原稿依頼が殺到し、それをこなすために採用した方法だった。
口述筆記を駆使した川上さんが作家の所得番付で上位にランクされたように、大川総裁による霊言集は幸福の科学に莫大な収入をもたらした。その能力を引き継げる人は見当たらない。この教団の行方は信者ならずとも注視せざるをえない。
山田洋
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