社会
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酒飲みばかりか下戸にも人気というBS-TBS月曜の『吉田類の酒場放浪記』。各地の酒場を飲み歩く吉田さんは元々は絵を描き、エッセイを書いてきた人だ。1990年代末に「立ち飲み」の本を出してヒットした。その頃、私が東京・江東区のスポーツジムのボクシング部で世話役をしていたら、彼が入部してきた。アマチュア中心のクラブだったので、減量なんか気にせず、練習後はそろって居酒屋に繰り出した。吉田さんもその中にいて、時には門前仲町のなじみの店を紹介してくれた。
やがてテレビ番組開始の準備で忙しくなったようで、ジムには顔を出さなくなり、付き合いは途絶えた。4年前に銀座三越で絵画と陶器の彼の個展が開催されることを知り、ぐい呑みでも入手しようかと出掛けてみた。
テレビで見ていたので20年ほどのブランクは感じなかった。「いつも飲んでいて体は大丈夫?」と聞いたら、「山歩きしている」と言っていた。かつて私も彼の山の会に誘われたが、けっこうきつそうなので尻込みしてしまった。その山歩きが彼の新たな仕事につながったようだ。NHK総合の水曜お昼の『にっぽん百低山』だ。誰でも登れそうな海抜数百メートルから1000メートル余の山を女性出演者と一緒に登る。2019年からBSプレミアムで放送され、昨年に地上波での放送となった。
『酒場放浪記』でも『にっぽん百低山』でも吉田さんの俳句が添えられる。彼が主催する句会への参加も打診されたことがあるが、これも断ってしまった。他の句会に出ていて、いつも苦吟していたからだ。
付き合いの悪さを申し訳なく思っていたが、彼の著書をチェックしていたら、私とおぼしき人物が登場していた。『酒場詩人の美学』(中央公論社 2020年)の中に、銀座三越での再会場面があり、懐かしいジム仲間たちについて2人で語り合う。その中の何人かはこの世を去った。そして彼自身も酒量が落ち、体力が衰えたと打ち明けている。まだまだ頑張ってよ、類ちゃん!
山田洋
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