社会
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東京株式市場は2月末に日経平均株価が34年ぶりの史上最高値3万9098円に達し、3月には4万円台に乗せ、22日には4万1000円を突破した。円安の進行で業績に追い風となる輸出関連株を中心に買われ、市場の売買シェアの大半を占める外国人投資も円安で買いやすくなった日本株に向かったためだ。テレビのニュースでは拍手して喜ぶ証券会社の人たちを映し、さらに大きな上昇を予想する意見まで紹介した。手放しの楽観論には違和感すら湧いた。
そのさなか、新聞に「今はバブル相場の最終局面」だとして『暴落ドミノ――今すぐ資産はこう守れ』と題した書籍広告が堂々と載っていた。著者は投資家たちにも信奉者が多い澤上篤人氏(77歳)だ。日本の大手証券やスイスの投資ファンドのアナリストを経て、1996年にさわかみ投資顧問(現・さわかみ投信)を設立し、1999年に日本初の独立系の「さわかみファンド」の運用を開始した人だ。同社の投資信託は長期保有型のこれ1本のみで、純資産3000億円、顧客数12万人を超えている。
バブル相場に対する澤上氏の警告は以前からのものだった。3年前に刊行の『大暴落』では「ニクソン・ショックの当時から今日まで、幾度となく大小のバブルを経験した。だが、今回のような冷めたバブルに直面するのは初めてである。さっぱり熱狂感が伴わない、いやに落ち着いた株高バブルが続いている」として、これは先進国中心にコロナ対策としての財政資金投入と、各国中央銀行による資金供給が前代未聞の規模で続けられているからだという。投入された資金はほんの一部しか経済の現場に吸い込まれず、働き場のないマネーは株式市場などに流れ込んでいるのだ。日本銀行のETF(上場投資信託)購入も異常な規模で、今や日銀は日本最大の株主になってしまった。
加えて膨れ上がった年金運用マネーが入ってきた。資金運用するプロの養成が追いつかなくなり、インデックス運用にシフトしていった。それは各種平均株価に連動したコンピュータ運用で、投資判断に悩むことはなく、コストも安上がりだ。
澤上氏は「今ほど、実態経済からかけ離れた浮わついたマーケットは例がない」「いつ相場が崩れて、株価が大暴落してもおかしくない」と明言している。だが、「その時こそが、バーゲンセールによる買いチャンス」と長期投資派ならではのアドバイスも付け加えている。
山田洋
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