社会
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魚を食べる機会が減っている。肉は1人当たり34kg、魚は21kg(いずれも年単位/農水省2021年資料より抜粋)。魚食のピークは23年前の2001年にまで遡るという。
スーパーなど小売業を支えている肉、総菜との比較でもその販売金額は8,000億程度と80%に満たない規模での推移が続く。魚食はこのまま衰退の一途を辿ってしまうのだろうか。ところが種々アンケートなどの結果をみると鮮魚を筆頭に魚をもっと食べたい との声が非常に大きいのである。(缶詰、練物も含めて)このアンマッチはどう説明したら良いのだろうか。
気候変動の影響か全国各地で獲れる魚の種類が変化している。近年北海道でブリが水揚げされるようになったとの話は記憶に新しい。世界中で魚食が盛んになり、円安ともあいまって外国に買い負けるケースも多くなっていると言う。また大規模化する小売業界と水産品の相性も良くない。
日々各地で水揚げされる魚は季節、天候、場所、また先ほどの気候変動影響でその種類、漁獲量は不規則。同じものを、同じ量、計画通りに取り扱いたい大規模小売業にとっては、他の製品と比べて水産品の取扱いはなかなかに難しい。
これからの水産業は様々な仕入れに柔軟な対応が可能、かつ人手をかける事で、結果消費者が新鮮でかつ豊富な種類から選ぶ事が出来る専門店、もしくはオペレーションを最優先して均一な品質を大量に安定した供給を可能となる養殖品、または長期の保存が可能な冷凍品を値頃感込みで販売する大規模小売店に収斂していく事が、先に挙げた魚をもっと食べたいとの声に応えるひとつの方法にはなるだろう。
他方、実際に食べると非常に美味なのだが、名前が通っていない、姿が地味、グロテスクなど、せっかく水揚げされたのに売る事が難しい為、そのまま未利用魚として廃棄されているものも多い。これからの水産業を概観してみた時、利用、未利用魚すべてを資源として活用し尽くす新たな流通網の確立は必須。そこには流通サイドからの未利用魚の美味しい食べ方などの提案し呼応して、我々消費者サイドも長年の食習慣、先入観を取っ払った選択が必要となってくるだろう。
長く魚食をその文化に色濃く取り入れてきた我が国で、未来に至るまでその習慣が長く続けられるよう様々な場面で知恵を絞って考えたい。
小松隆
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