トップページ ≫ 社会 ≫ 埼玉改援隊始末記 —4市長の改革声明からの覚え書き—
社会
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さいたま市長、深谷市長、ふじみ野市長、和光市長が「埼玉から地域が主役の改革を推進・支援する会—埼玉改援隊」なるものを立ち上げた。龍馬がNHKで放映され、人々の脳裏に龍馬が色濃く残っている時とあって、かなりの刺激を関係筋に与えたことは事実。もちろん、龍馬のそれは改援隊ではなく海援隊であり、政治色の濃い貿易商社で、前身は1865年設立の亀山社中だ。しかし、龍馬の死後解散。わずか3年の寿命だった。
それはともかく、報道したメディアが一様に疑問符をつけていただけに、様々の意見が巷に流布された。多くは事実を把握していない感覚的、感情的なものだったが、この4市長達の提案したことの中身は、地方政治、地方自治、そして地方議会のあり方をはじめてあからさまに表現したともいえる。国も地方も政治ごっこをしている時ではないのだ。そのくらい国も地方も未来が描けないほど深刻な財政事情を抱えてしまっているのは、紛れも無い事実であり、こういう時にあって思い切って地方議会内にとどまらず、広く世論に訴えたことをまずもって注目するべきではないだろうか。
二元代表制というが、首長は全体からたった一人選ばれてくるのだから、全体の意思の代表と捉えなかったら、首長の意味がなくなってしまう。すなわち、一方の議会のほうは市長が市民全体の中から選ばれたその意味を十分尊重し考慮しなかったら、二次元代表制の真の意味がなくなり、議会の有権者無視、市民無視の独善政治となりかねない。しかし、議会はチェック機関なのだから、十分、その機能を生かし、市政がこれまた首長の独善に走らないように監視しなければならないのも一方の事実だ。
ただし、歴史的にも現実的にも、議会勢力の多数派ではないところから選ばれてきた首長は議会から様々のいじめ的、意地悪的対応に悩まされて、時には、市政の一時的停滞を余儀なくさせられる場合が多々あるのは周知の事実だ。しかし、多くの場合、首長が真剣な姿勢をとり続け、説得や話し合い、さらに議論を展開していくうちに、議会も是々非々にまわり、是のウエイトが高まっていくものだ。県政の場合も、かつての畑知事は社会党出身ということもあって、当初、全く極小数与党の中で県政を運営。結果として5期も知事に座にあったし、現在の上田知事も当初は圧倒的多数の野党自民党の前に苦心三嘆。これまた結果として、自民党まで与党にし、安定的県政の経営をしている。
今回改援隊市長達は、お家の事情と考え方は様々で一様に、今例え、反市長派とみられる議会人とは、対話を繰り返し、理解を求める努力は、今まで以上にしていくということでは一致したスタンスをとっている。ただ、4人とも40代、50代と若く、新しい時代への仕掛けは、そのセンスをもってしていくことは当然な筈だし、また、地方選においても、できうる限り、自分達の政策に共鳴する人達をより多く当選させたいということも当たり前のことだ。今、反市長派とみられる議員もいきり立つことは何も無い筈だ。議会は一党一派のためにあるものでは決してなく、市民全体のものであるということを考えれば、当然、市民派、県民派的な発想を持って、地方政治の前進を考え、この財政的危機状態を、首長と一体となって解決していく姿勢をとれないようでは、その資格すら疑われても仕方あるまい。
今回、4市長の真意を直接聞いてみて、納得することが多かったのは何故か。4市長とも真剣に市政のこと、市民のことを考え貫いている事実を当然ながら知ったからだ。但し、この4市長にさらに望むことは政治は厚い壁をキリで必死になって穴を開けていくほどの強靭な精神と常に他を理解し、また、己を理解させる説得の練士であってもらいたいということだ。
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