社会
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昨年12月21日、横須賀市職員が転勤を拒否して処分されたというニュースにはおどろいた。こんな職員がいるのかという驚きと、もう一つ処分まで9ヶ月もかけしかも停職1ヶ月という軽さ。停職は一般には相当重い処分だがこの事案では軽すぎるだろう。その間給料もボーナスも満額払ったというのも驚きだ。上司にしてみれば自分の懐が痛むわけでもなし、減給、免職処分にして裁判でも起こされたらかなわないと考えたのだろう。日本は役人天国といわれるのも頷ける。その間市側は弁護士に相談しただろうか。それもしなかったとしたら怠慢だ。
実は労働基本権が制限されている公務員の身分保障がもっとも手厚い。官公労を支持母体とする民主党政権下では尚更そうである。
もう一つ市総務部が処分に時間がかかった理由として「主任が事情聴取や弁明書の提出などの手続きを踏ませてくれず、時間がかかった」と言っているのもいただけない。事情聴取に応じないこと自体規程違反であり、弁明書を提出しないことは釈明権の放棄と見なしてさっさと処分すればよかった。役人の事なかれ主義極まれり。
この主任が異動拒否の理由について「仕事を覚えきっていない中で、次の職場に異動すると自分の評価が低くなる」と言っているのもふざけた話だ。そんな主観的な理由が通るのなら誰も異動させられなくなる。
このニュースには続きがあった
異動拒否の横須賀市職員、停職明けは人事課長と押し問答
昨日のasahi.comから
24日午前9時ごろ、神奈川県横須賀市役所で、人事異動を拒否している市港湾部の男性主任が人事課長と異動をめぐって押し問答になり、転倒した人事課長が病院に救急搬送されるトラブルがあった。横須賀署は傷害の疑いで主任から事情を聴いている。
市人事課によると、主任は、昨年4月1日付で発令された港湾部への異動に従わず、市民部にそのまま8カ月以上にわたり居座ったとして先月21日に停職1カ月の懲戒処分を受けた。24日は懲戒期間を終えて初の登庁日だったが、主任は港湾部ではなく市民部に出勤したため、人事課長らが異動内容に従うよう説得。もみあいになった人事課長が転倒したという。
以上引用
異動拒否により停職処分を下しても氏名を公表せず、刑事事件となったこの段階でも公表しないのもおどろきだ。一体横須賀市はどの段階で公表するつもりか。
公務員の懲戒処分について
公務員の懲戒処分には、免職、降格、停職、減給、戒告の五種(重い順)ある。訓告・厳重注意は懲戒処分に含まれずキャリアに傷がつかない。
だが疑問は次々に湧いてくる。そもそも懲戒処分とそれ以外の処分はどう違うのだろう。一体だれが戒告、訓告或いは厳重注意を行うのだろう。直接の上司かそれとも人事課長かそれとも大臣(国家公務員)又は自治体(地方公務員)の長か、それは書面でそれとも口頭で行われるのか等。戒告等は実際に行われるのか、それとも手続き上行ったことにしているだけではないのか、減給だって誰も給与明細を見るものはいない。本当に行われているのか等。 もっと問題であるのは刑事事件として訴追されない限り姓名が公表されないことだ。
懲戒処分は外から見てもっとわかりやすいものに変えてほしい。例えば切腹、閉門、蟄居(ちっきょ)、遠島、江戸所(ところ)払い、鞭打ちなど。
退職金の扱いも問題だ。例えば収賄罪で起訴された元防衛省事務次官の守屋氏は自宅を売って退職金を返納したが、あれは法によるものではなく自主的返納だ。だから彼が返さないと言えばそれっきりになるところだった。その代わり進行中の刑事裁判で量刑が重くなった可能性が高い。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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