トップページ ≫ 社会 ≫ なぜ日本の首相はよく代わるのか?
社会
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今の菅首相は94代内閣総理大臣。これは明治憲法から通算したもの。内閣制度ができたのが憲法制定に先立つ明治18年、今から126年前だ。従って戦前戦後を通じて内閣の寿命は平均1.3年余。これでも随分短いが実は平均値は余り意味がない。戦前の激動期満州事変から太平洋戦争勃発までの10年に限れば犬養毅、斉藤実、岡田啓介、広田弘毅、林銑十郎、近衛文麿、平沼騏一郎、阿部信行、米内光政、再び近衛、東条英機と延11の内閣が生まれたので平均1年に満たない。
戦後平成以降だけ見ると、宇野宗佑、海部俊樹、宮沢喜一、細川護煕、羽田孜、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人。つまり23年間で15人の首相が誕生した。平均すると1年半余。戦前の平均値より長いようだが、これは小泉内閣が5年続き嵩上げされているのでこれを除くと1.3年に満たない。
初めて小選挙区制による衆議院選挙が行われたのは平成に入って間もない1996年。本来小選挙区制下では政党本位の選挙、政党助成金と相まって、派閥が事実上消滅し党執行部の力が強くなるので与党党首である首相の地位は強化されるとの見方もあったがそうはならなかった。
何故そうなったのだろう? 派閥の合従連衡で与党党首つまり首相の地位が決まることは自民党でもなくなったが、その代わり与党議員は次の選挙の顔には誰がいいか、つまり誰が首相であれば自分の再選可能性が高まるのかという極めて短期的な、移ろいやすいいわゆる世論を気にして党首をすげ替えたいとするインセンティブが強くなった。わずかの無党派層の動向が選挙結果を左右する小選挙区制にあっては尚更である。
昭和前期短命内閣が続いたのは軍部の横槍によるところが大きかったが、上に述べたように平成に入って短命内閣が続いたのは、移ろいやすい世論が衆議院では某政党を勝たせてもその後に行われる参議院選挙では与党に鉄槌を与えいわゆるネジレが常態となったためでもある。
憲法は予算に関して衆議院に優越を認めているが、税制、赤字国債発行等いわゆる予算関連法案には衆議院の優越がないことが国会審議の成行を一層混迷させている。現行の二院制ではなくマッカーサー草案通り一院制がよかったかもしれない。参議院を設けたのは貴族院の名前を変えて残したものだが、貴族院よりはるかに権能は強化された。
憲法上首相任期の規定はなく、何年でもできるが、実際には最長4年の衆議院選挙、3年毎の参議院選挙が首相再任のハードルとなっており、おまけに各党独自の党首任期規定がある。野党党首の任期は問題でないが、首相という公的地位が政党という私的団体の任期規定に拘束されるのは問題だ(政党は使命こそ公的なものであって私益を計るものではないが法的性質はあくまでも私的団体である。但し選挙法、政党助成金等によってある程度公的性格が与えられた)。
外国人参政権
前原さんが在日外国人から献金を受けた問題は外国人参政権とも関連する。民主党の一部議員は外国人参政権を推進しているのでこの問題を整理しておこう。
1、まず、対象となる外国人は定住外国人一般か、それとも日本の敗戦と植民地(朝鮮、台湾)の独立によって図らずも「外国人」となり特別永住権を与えられた人々に限定すべきか。
2、対象を、特別永住権をもつ人に限定した場合、帰化要件の緩和によっては解決できないのか。
3、外国人に参政権を認めた場合、その外国人の国内法によっては二重に参政権をもつことも考えられるが、それでいいのか。
4、納税の義務と参政権は一体のものとする論者もあるが(アメリカ独立戦争のスローガン「代表なくして課税なし」)、それでいいのか。納税は行政サービスの対価であって、かならずしも参政権とは結びつかないという考え方もあり得る。
5、地方参政権と国政参政権をわけ、地方参政権については認めるべしとする二分論が学界では有力であるが、果たしてそれでいいのか。国家とは何か、国益とは何か、国政と地方政治との区別は絶対的か等の論点に関わる。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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