社会
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1月半ばから日本の株価がスルスル上がり始めた。2008年9月のリーマン・ショックで世界中の株価が暴落し、特に日本は昨年3月の東日本大震災もあり、世界の株価出直りに取り残される形で低迷していた。様変わりの値上がりだが、大儲けした人は意外に少ない。
日経平均(東京証券取引所第1部の代表的225銘柄の平均株価指数)は昨年末に8455円だったのが、3月19日には1万173円まで上昇、この間の値上がり率は20%を超えた。年始恒例の専門家による新年度株価予想では、1~2月に安値を付け、株価回復は年後半と見る人が多かった。
当時は欧州債務危機が予断を許さなかったから悲観論が支配的だったのだが、いろいろな株式指標は下げ過ぎを示唆していたのも事実。日本株買いの先鞭をつけたのは外人だった。値上がりを始めても、専門家の多くは依然として弱気のスタンスを崩さず、いずれ下がると見た個人投資家は信用取引のカラ売りを仕掛けた。
信用取引は通常6ヵ月以内に反対売買をしなければならないから、カラ売りをした人はいずれ買い返済することになる。買い一辺倒だと、後で売りがどっと出てくるのだが、今回はその心配が比較的少ないのはカラ売り残高の増加のせいもあるだろう。
米国ウォールストリートの有名な格言に「相場は絶望の中で生まれ、懐疑の中で育っていく」というのがあるが、半信半疑の中での株式上昇が相場を育てたと言えよう。こうなると、一転して強気の見通しをする人が増えてくる。この前まで弱気だった人が、日経平均1万2000円とか言い始めている。節操がないように見えるが、株式の世界では変わり身の早さは必要と言える。
相場は投資家心理を敏感に反映するから、株価の足取り、位置によって投資家心理が変化し、市場のムードも一変することが珍しくないのだ。日本の株式市場のオピニオンリーダーの一人はテレビ・インタビューで「座右の銘は?」と問われ、「君子豹変」と真顔で答えていたくらいだ。
多少の調整はあろうが、上昇相場はまだ続きそうだ。ただ、欧州債務危機はいつ再燃するかわからないし、イランとイスラエルが戦争状態に突入する可能性もあり、それらへの心構えは欠かせない。おっかなびっくりの投資家スタンスが逆に相場を長持ちさせれば幸いなのだが。
編集長 山田 洋
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