社会
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いわゆる世襲を法律で禁止することは、憲法に違反する。(そもそも候補者は選挙の洗礼を経る必要があり親或いは後援会の指名だけで議員になれるわけではないので厳密に言えば世襲という言い方自体問題がある)。
職業選択の自由(第22条)に違反するとするとの見解もあるが、法律で職業選択に制限をもうけている例はいくらもある(一定年齢に達していること或いは医師等資格を要求するなど)。従って職業選択の自由というよりは、法の下の平等(第14条)に反するというべし。門地(生れ)による差別に該当する。
民主党が世襲制限を次の選挙のマニフェストに入れようとしている。政党はその目的こそ公益の追求だが、法律的には私的団体であるので内規で世襲を制限するのは憲法違反の問題は生じない。「現職の3親等以内の親族が同一選挙区から引き続いて立候補することを禁止する」。
この定義では「同一選挙区」、「引き続き」の二つの条件があるので代替わりの時だけ問題となり鳩山氏も小沢氏もパスできる。300小選挙区の民主党候補者をすべて知っているわけではないが、来るべき総選挙に該当する候補者はなさそうで羊頭狗肉との謗りを免れない(抜け道もありそうだ。無所属で立候補し、当選後入党するなど)。自民党に当てはめても恐らく該当するのは小泉進次郎氏だけではないか。余談だが、ある新聞が見出しで「小泉純一郎氏、次男に禅譲」と書いていた。息子に譲るのを禅譲とは言わない。これでは他人の漢字力を揶揄する資格はない。
そもそもなぜ世襲議員が多いのだろう。
国会議員という地位は一種の零細企業のようなものである。一人の議員に寄食している人達は秘書等十人は下るまい。企業である以上その存続こそ至上命令であるので、社長(議員)の引退、死去による会社清算(議席喪失)を防ぐためには、改めて数十万人の有権者に別の名を覚えてもらうより同じ名前の候補者のほうが手っ取り早いし、後援会もまとまりやすい。したがってそれなりの合理性はあるのである。
この問題は否定的に取り上げられることが多いが、あながち悪いことばかりではない。選挙区サービスや資金集め等当選するために精力の大部分を割かなくて済み、その分大局的、長期的な見地から国政について考えるゆとりをもてるとしたら。
それに安部晋三氏、福田康夫氏、小沢一郎氏、鳩山兄弟など成功した(?)事例だけ取り上げられるが実は失敗した(ものにならなかった)事例も多い。
私は、問題にすべきは世襲ではなく「知名度」こそ選挙に勝つ最も重要な要素となっている現状であると考える。仮に世襲制限が実現しても、その分タレントなどテレビに出ずっぱりの人々の政界進出に拍車がかかるであろう。その意味で自民党や民主党が候補者公募制を実施しているのは広く人材を発掘する観点から好ましい。ただ選考過程の透明性には問題がある。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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