社会
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4月15日投開票された坂戸市長選の結果に坂戸市民はじめ県政界に大きな波紋をひろげている。キャリア、実績ともに充分だった筈の現職が、新人の石川きよし氏に約6,000票もはなされて大敗したからだ。
石川氏は市議の経歴を持つが、それこそ議長経験もない。いわば、一匹狼的存在の人だ。ただ、市議選においては、トップの座を占め、それなりの名前は知られていた。しかし、下馬評では、やはり現職の伊利氏有利が大方の見方だった。では何故?大敗ということになったのか。
まず、石川氏は新しい戦略と戦術を駆使した。一人でくまなく足をはこび、現職批判を徹底した。財政危機の訴えはかなりきいたようだ。又、市長報酬を5割カットして、市の財政を立て直していくという姿勢もうけた。石川氏は大きな組織はつくらなかった。その分、石川信者というような存在が実にマメに動いた。
4選は多選という批判、伊利氏の73才を高齢とキメつけた。一方、現職の伊利氏は確固たる組織を活用した。しかし、組織の高齢化はいかんとも隠しようがなかった。そして、やっととった自民党推薦も裏目にでた。政党不信が頂点に達している今日、あえて自民党としたところも、相手の思うつぼになった。
又、もっとも目についたことは伊利陣営の戦略の古さにあった。インターネット等を駆使する広報戦略においても著しく差をつけられた。現代選挙における組織の活用は両刀の剣だ。
組織にあぐらをかいたとたん、選挙は敗北の道をたどる。組織は活用してこそ生きるのだが、そこに誤算が生じる。又、あと一つ重要なことは、それぞれの姿勢を有権者は意外と知っているということだ。個人的、公的を問わず、約束を死守する姿勢を有権者は見ている。だからこそ、政党不信が生まれるのだ。失望の蓄積、不信の蓄積はあなどれない事実だ。そのことはそのまま、今後の石川氏に問いかけられている。
さらに、今回の選挙は現職の県議会議員も現職についた。そのことが、プラスになる時は、市長も県議も同じ迫力をもって臨む時だけだ。逆にまちがった安心感が陣営にひろがり、票は全くひろがっていかない。
選挙は誰がついた、つかないはほとんど問題にならず、本気の者がどれだけいるか、あるいはどうしても、相手をおとしたいという者がどれだけいるかに関わってくる。坂戸市長選は以上を絵に描いたようなものだった。
きつい言葉だが、“勝ちに不思議あり、負けに不思議なし”は古今東西永遠の真理だということだろう。
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