トップページ ≫ 社会 ≫ 石原慎太郎の研究(2) <中国の内紛はどうなるのか>
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渡米中の発言だったのも、この件は日米合意だとの強いインパクトを中国に与えるよう計算した上での事であった。こんな重大な問題にも拘わらず、中国が従来のような素早さで反論してこないのは国内事情によるものと思われる。現在、中国は主導権争いの真最中にあり、政局は混沌として予断を許さない情況にある。死ぬか生きるかの激しい権力闘争が国中で行われていて外交に関心を向ける余裕が無いからである。薄煕来重慶市長の側近だった王立軍前同市公安局長が四川省成都の米国領事館に駆け込んだことに端を発した重慶事件だが、この事件の根はとてつもなく深いのである。市長(太子党)夫人が英国人の殺害事件に関与したとして、次の国家主席である習近平の側近として政府の首脳部入りを約束されていた薄煕来市長を解任して降格させてしまったどころか、汚職による不正蓄財をも暴き出してしまったのだ。暴力団追放などで市民から人気の高かった市長の評価を一変させて一気に権威を失墜させてしまったのである。今後の展開しだいでは逮捕拘束の事態も起こりうると言われているのだが、日本での関心度はいまいち低くて、あまり話題とはなっていないのだが、中国では天地をひっくり返したような大騒動になっているのである。
次期政権の習近平に代表される太子党(共産党高級幹部の子弟達)と、現政権の胡錦濤に代表される実務派(実力で幹部に昇級した人達)との間にすざまじい権力闘争が繰り広げられているのが表面化したのである。言われているように共産党の地方幹部達の腐敗は底なし沼のように奥深く、この種のスキャンダルは中国全土に広がっていて留まるところを知らない。表面上は平静を保っているようだが、実際の国家中枢は混乱の極みにあると言えるようだ。つまり、政権が交代すれば旧悪が暴露され、獄に繋がれかねない現政権の高級幹部達が、そのまま政権に居座れるようにするために体を張って既得権益を守るための闘争に奔走しているのであり、どちらが正しいかよりも、この権力闘争に勝ち抜かなければ文字通り生き残れないので、どちらも必死になって死闘を続けているのである。勝てば文字通り官軍になれるし、負ければ賊軍として裁かれてしまうのである。だから、まかり間違えれば内乱状態に突入する心配さえあるのだ。香港発で中国は天安門事件以来の危機的情況にあると伝えられている程である。こんな状況にある中国なので、いつもなら即座に猛烈な反撃に打って出る尖閣問題なのだが、今回はちょっと様子がおかしいのは、かかる事情によるものだと推測すれば納得出来る筈である。
つづく
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