社会
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日本の若者の海外志向の低下が以前から言われている。米国に留学中の日本人学生数はピークの1997年の半分以下に減少した。企業に勤める若者も海外赴任をいやがる傾向にあるという。日本は若者にとって天国とは到底思えないが、外国で勉強したり働いたりするよりも楽チンだという判断はあるだろう。
そんな中、海外ボランティアとして派遣される青年海外協力隊の活動は脈々と続いている。派遣先は開発途上国ばかりで、滞在期間は2年。今の仕事をやめたり中断して出かけるのだから、それなりの覚悟が必要だ。
年4回に分けて派遣されるが、埼玉県出身者も各回20~30名いる(40歳以上のシニア隊員を含む)。JICA(国際協力機構)等と協力して埼玉出身隊員を支援する組織にかかわって2年余。ここの中心メンバーだった友人2人に誘われて会員になったのが始まりだ。
ちょっとだけのはずが、会員たちの熱心な活動を見て、すぐ抜け出すわけにはいかなかった。今は広報委員として、年2回発行される会報の編集を手伝っている。隊員たちの現地からの便りや帰国後の報告を掲載するのだ。
派遣先はアジア、アフリカ、中南米が主で、初めて聞く国名も多い。現在は内戦状態のシリアに昨年まで新体操の教師として派遣された女性は、イスラム圏の中では女性のスポーツに前向きな同国の意外な事情を語る。
アフリカ西海岸のベナンに行った保健師の女性隊員は、一夫多妻制が残っていて子供の数がとにかく多いのに仰天。女性の地位が低く、避妊を自ら言いだせないのも一因らしい。乳幼児の死亡率が異常に高いこの地域で、マラリア感染を防ぐため、悪戦苦闘の日々だったという。
隊員たちは使命感に燃えて赴任するが、現地の人々がついてこなかったり、ペースが違ったりと、労働意識の違いに戸惑うことが多いようだ。でも、やがて日本人とは違うライフスタイルを認めるようになり、先方もこちらを理解してくれるという例がよく見られる。
こうした草の根の海外支援は、国際貢献というだけでなく、日本の途上国に対する外交政策でも重要だろう。政府の事業仕分けの対象になったが、派遣先国のニーズとのミスマッチなど、見直すべき所はあるにしても活動そのものの意義はもっと評価されてもよいだろう。
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