トップページ ≫ 社会 ≫ マンションの建て替えが容易になるか?
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
昨年の東日本大震災以降、築年数の多いマンションでは耐震性が緊急テーマになっている。特に旧耐震基準で建てられた1981年以前のマンションは、耐震検査をしたら、「このままでは危険」とされるものもかなりありそうだ。
耐震工事には相当な費用がかかるから、「いっそのこと建て替えしたほうがよい」という意見も当然出てくる。そうしたほうがよいマンションも少なくないはずだが、これがまた大変な難問と言える。マンションの建て替えには、管理組合の組員数および議決権(個々の専有面積に比例)の5分の4以上の賛成が必要なのだ。
建て替えに反対する一番の理由は資金だ。修繕積立金というのがあるが、これはあくまで補修用資金で建て替えにはあまり足しにならない。築30年以上だと、新築時から住んでいる人には退職者も多く、1000万単位の資金を工面するのは容易ではない。銀行ローンも年齢や年収の面から難しくなる。
居住者は富裕層で、9割以上の人が賛成したのに建て替え計画が暗礁に乗り上げた例もある。東京・原宿駅前に1965年に建てられ、高級マンションの先駆けと言われたコープオリンピアだ。1、2階の大型店舗の区分所有者が議決権の2割を持ち、反対に回ったからだという。
旧耐震基準で建てられたマンションは2万棟、100万戸あるが、建て替え決定に至ったものはその1パーセントに満たない。古いマンションはエレベーターがないところも多く、住民の高齢化とともに上層階では空室が増え、スラム化の恐れもある。反面、マンションブーム初期化の物件だけに立地条件がよいところが多い。
今までこの問題をほったらかしにしていた政府もようやく動き出すようだ。建て替え決議に必要な5分の4という数字を3分の2に緩和するというもので、2013年に改正案を国会に提出する予定らしい。一歩前進と思いたいが、経済的理由で反対せざえるをえない住民のフォローをしなければ、問題の真の解決にはならないだろう。
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR