トップページ ≫ 社会 ≫ 川上宗薫さんが憧れたベトナム女性
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たしか1974年と記憶しているが、週刊誌編集部員だった私は、担当作家の川上宗薫氏からベトナム旅行の提案を受けた。当時はベトナム戦争のさなかであり、ためらっていたら、官能小説の大家で女性身体の探求にいそしんでいた彼は「ベトナムの女性は世界で一番いいらしい」と真剣な表情だった。ベトナム旅行を扱っている旅行社を探し出し、話が具体化したころ、戦争激化の報が入った。結局、旅は実現できなかったが、宗薫氏のベトナム女性礼賛の言葉はいつまでも耳に残った。
それから38年、私は初めてベトナムを訪れた。エネルギー資源が豊富なこの国は近年、経済成長が著しく、日本企業も続々と工場建設をしていて、戦争当時とはまったく様変わりしていることは聞いていた。最初に着いた南部最大の都市ホーチミン(旧サイゴン)では想像をはるかに上回る活気とにぎやかさがあふれていた。
その1つの理由は洪水のようなバイク群にありそうだ。街中に四輪車が少なく、出勤と帰宅の時間である朝と夕、道路はバイクに埋め尽くされる。どうしたらあんなに荷を積めるのかと驚かされる積載オーバーのバイクも加わる。私はシクロ(自転車で押す人力車)に乗ったが、周りをバイクに囲まれ、冷や冷やの連続だった。
特にすごかったのが信号のない交差点だ。四方からバイクの群れが突入、当然衝突と思いきや、バイクは多少ジグザグしながらも縦横に走り抜ける。これは何回見ても不思議でならないのだが、カオス状態での中でもどうやら暗黙の秩序があるらしい。ベトナム人の手の器用さは工芸品などで発揮されているが、バイクテクの器用さも尋常ではない。
乗っている人たちは若い人が多いが、日本の暴走族みたいなのはいない。そして、3分の1以上が女性なのだ。子供を2人、3人乗せたママさんライダーも珍しくない。今のベトナム女性は強く、たくましい。来るまでは民族衣装のアオザイ姿の女性を思い描いていたが、街中では少なくなっている。
もし、宗薫氏が生きていたら、今のベトナム女性を見て何と言うだろうか。「やはり世界一のはずだ」と言って、街へ女性探索に繰り出す元気な姿を思い浮かべたいのだが。
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