トップページ ≫ 社会 ≫ センセーショナルな絵画に出会う~ヤオコー川越美術館「生きる」と「老いる」
社会
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「生きる」とはよろこびであると想っていた私に一枚の絵が
その現実を突きつける。
「生きる」とは命尽きるまでなのだと・・・。
命とともに肉体がこの世に誕生し、歳月を経てその肉体が「老いる」。
老いることは当たり前のことであるが、いざそれを目の当たりにすると何ともいえぬ衝撃にかられる。
それは二枚の絵によってあらわにされた。
絵のタイトルは「生きる」と「老いる」。
リアルに描かれたその絵の皮膚の色、髪の色、骨の形、しわの一本一本の繊細さが心に突き刺さる。
その現実が絵によって鮮明に映し出されていく。
初めて見たその絵は衝撃以外のなにものでもなかった。
後日、再びその絵と向き合った。
体中が熱くほてり目頭までもが熱くなる。
「他人にとっては汚いシワにしかみえないだろうが、私にとっては、一つ一つのシワが私が苦労をかけた想いにつながっている。シワの一筋一筋が私自身だ」。
画家の心が私に乗りうつった瞬間だった。
その絵の被写体は画家の母。
その肉体は母としての喜び、哀しみ、嘆きそして愛、人生のすべてを物語っていた。
生きることのすべてだ。生きてきた精一杯の命だ。
画家は涕泣しながらその絵を描いたという。
母の死が間近に迫っていることを悟っていたのかもしれない。
そしてどんな姿でさえ、母の生きている今を、いや姿を焼きつけたかったのではないだろうか。
その絵を描きあげた年に画家の母は永眠。
今ない肉体にあらためて敬意を表する。
そう想うとこの絵は画家の母を想う絵の何ものでもない。
画家の母への哀絶と深謝を描いた絵なのではないか。
そしてあらためて想う。
画家の母は幸せものである。その肉体が果てるときまで息子に想ってもらえたのだから。
ヤオコー川越美術館。
「生きる」「老いる」ほか30点もの絵画のコレクションが並ぶ。
すべてが作家三栖右嗣氏のものだ。
そこは小江戸川越に建つ近代的かつ、癒しの空間。
ラウンジには三栖氏の集大成となった「爛漫」の桜の絵が華麗に優美に咲き誇り見るものの目を奪う。
ここにしか咲かない桜「爛漫」そして「生きる」「老いる」。
ぜひ作家三栖右嗣氏の生きた証をこの目に焼き付けてみてはどうだろう。
また3月5日BS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」20時から20時54分にて
ヤオコー川越美術館が紹介される。お笑い芸人のおぎやはぎが出演。
是非お見逃しなく!
ヤオコー川越美術館ホームページ
http://www.yaoko-net.com/museum/
(古城 智美)
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