社会
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先日、さいたま市産業センター(中央区下落合)で啓発性に富んだ講演会が開催された。「くらしと健康」がテーマで、主催は与野浦高会、共催がさいたま市中央区コミュニティ協議会で、中央区の医師会、歯科医師会、薬剤師会が後援していた。
第1部が日本歯科大学准教授・福田雅臣氏の「噛んでダイエット」で、よく噛んで食べることによる唾液の働きを、ガムを使ったりしてわかりやすく紹介。第2部が自治医科大学附属さいたま医療センター教授・今野良氏の「子宮頸がんの予防について」だが、ここで取り上げられたワクチンが、その後にわかに注目を集めることになり、今野氏のコメントが新聞に出るようになった。まず講演内容を紹介したい。
日本では毎年1万5000人が子宮頸がんを発症し、3500人が亡くなっている。発症のピークは35歳と若く、出血などの症状が出ると
手遅れになることが多い。初期の段階では症状が出ないのが特徴で、
前がん病変や初期のがんなら100%治る。それは検診で見つけることができる。
あらゆる検診の中でも最も有効な検診だと言える。米国や英国では検診率が80%を超えているのに、日本では25%で発展途上国並み。
子宮頚部(一番下の部分)にできるがんが3ミリを超えてしまうと、広範囲に切除しなければならなくなり、2センチを超えると神経まで取らざるをえず、治っても排尿や排便に障害をきたす。
子宮頸がんの原因はHPVというウイルスで、性交渉により感染する。ウイルスに感染してもがんになるわけではなく、免疫の力でたいてい治ってしまう。感染だけなら80%の人(男性も)がなるのだ。
HPVにもいろいろな種類があって、16と18というタイプが子宮頸がんの原因の7割を占める。HPV全体では子宮頸がんの99%、男女の肛門がんの90%、中咽頭がんの60%の原因になる。
子宮頸がん予防には2つの方法があり、検診はがんになる前にするもので、HPVに感染する前、中・高校生ぐらいまでに予防のために打つのがHPVワクチンだ。ワクチンは6ヶ月の間に3回打つ。HPV感染前の少女では100%の効果というデータもある。
つい最近、国会でワクチンの定期接種化が決まり、小6~高1の少女に無料で接種することになった。それより年上で性体験のある女性にもワクチンの効果はもちろんある(費用は計3回の接種で5万円)。
この講演の直後、子宮頸がんワクチンを接種した中・高校生に、手足や肩などに痛みが生じ、歩けなくなるなどの副反応が出て、母親たちが被害者連絡会を作ったとの報道があった。「えっ!」と思い、ニュースを調べると、2種類あるワクチンで、そのような副反応が報告されたのはそれぞれ0.001%前後だが、どのくらい因果関係があるか不明だし、偶発的に生じたケースも考えられるという。
今野教授をはじめ専門家は「ワクチン成分との因果関係はない」と強く主張している(3月31日付の毎日新聞)。副反応の徹底解明は必要だが、接種しないことによる恐怖のほうが大きいことは素人目にも明らかだ。定期接種になったことで、万一の健康被害の場合も手厚い共済が行われることになった。 (山田 洋)
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