社会
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超低金利、住宅取得優遇税制、そして来年予定の消費税引き上げを前にした駆け込み需要で、住宅販売が好調だ。初めて家を買う人には土地付き一戸建てより価格が安いマンションのほうに人気が集まる。首都圏の今年のマンション販売戸数は前年比で1割強の増加が予想されている。
管理費を払えば、建物や設備の点検・修理や庭の手入れ、共用部分の清掃などをしなくてすむので、この種の作業が苦手な人にはありがたい。しかし、長く住んでいると、大規模修繕、さらには建て替えなどの問題が出てくる。築後年数が多くなるほど出費も増えるわけだ。こういうことは購入時にはあまり考慮されない。
友人2人がさいたま市内の築後40年前後の別々のマンションに住んでいて、先日、両方の管理組合総会があった。そしてマンション老朽化対策をめぐる対照的な決議がされた。
1つは北区の5階建てマンションで大規模修繕案が可決されたのだが、懸案だったエレベーター新設は見送られた。新築時からの入居者は70歳過ぎの人も多く、階段の昇り降りはけっこうきついはずだ。工事規模も経費もたいしたことはないのだが、エレベーター設置は増築と見なされ、建築確認申請が必要となるという。そうなると建物が現在の建築基準法等に適合していなければならず、40年前の法律ではOKでも今ではNOとなってしまう個所が多数出てくる。それをクリアするにはエレベーターとは1桁違う経費がかかるので、計画は暗礁に乗り上げてしまった。あまりにも杓子定規な法解釈で、これでは古いマンションは住民の便宜のための改良工事ができなくなってしまう。
もう1つは大宮駅東口から近い中規模マンション。当初は近くに分譲マンションが少なかったこともあり、人気マンションだったが、ここ10年余りで前方に大型マンションが林立し、住環境に変化がもたらされた。そして4月の管理組合総会では全員の賛成で建て替えが決定したのだ。
建て替え決議には区分所有者の5分の4の賛成が必要とされ、大抵はこのハードルを越えられずに断念している。ここは区分所有者に経済的余裕のある人が多いようだが、全員一致というのは快挙ともいえる。
ところでマンションの寿命はどれくらいだろうか。減価償却制度上の耐用年数は47年だが、物理的にはもっと長い。使用コンクリートの違いによる耐久設計基準強度というクラス分け(2009年改定)では、65年、100年、200年となっている。
また、耐震性ということも重要だ。新耐震基準が適用された1981年6月以降に建築確認を受けたマンションとそれ以前のものとでは、安全性そして耐用年数の面で大きく異なってくる。
以上のような物理的条件だけでなく、マンションの寿命は機能面や周辺環境などの要素にも左右される。エレベーター設置などの改良工事から建て替えまで、今後増加は必至だから、ハードとソフト両面からの行政の取り組みが求められる。
(山田 洋)
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