社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
富士山がユネスコの世界文化遺産に登録され、この夏、登山客、観光客がどっと押し寄せている。日本はこれまでに文化遺産として12件が登録されており、4件の自然遺産と合わせると、富士山は17番目の世界遺産になる。にわかに巻き起こった富士山ブームは、まるで1番目の登録のような騒ぎだ。
当初、富士山は自然遺産としての登録をめざしたが、開発やゴミ問題もあって、文化遺産登録のほうに方針転換した。正式な登録名は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」。
芸術の源泉という面では、江戸時代に浮世絵に富士山が描かれ、それがゴッホなど西洋の画家に影響を与えたことが評価された。代表的なのは葛飾北斎の『富嶽三十六景』。富士山を多数の場所から描いていて、赤い色に染まった富士山を全面に描いたものや、荒波の間に垣間見える小さな富士山などが有名だ。
今では信仰や芸術とは縁が薄くなっているかもしれないが、生活の中には富士山神話は残っている。たとえば住まい選びでは、富士山が見えるというのは大きなポイントになる。共同住宅の高層階に住んでいる筆者も、部屋選びではその点にこだわった。
この住まいで10年以上も見慣れてきた富士山だが、先日、いまだかつてない富士山の威容を見ることになった。朝、濃い霧が低く垂れ籠み、いつもは眼前に広がる景色がまったく見えない。その霧の上に富士山と秩父連峰の一部が頭だけをのぞかせている。他は何も見えないだけに富士山が眼前に迫ってくる。昨年、山梨県で見た富士山よりはるかに近く感じられた。
目の錯覚と思って何度も見直したが、変わらない。こうなると、いつも見ている遠くの富士山のほうが錯覚のような気がしてくる。北斎の絵にもなかった光景だ。富士山の遺産登録が決まった頃に見た幻想的光景、もう一度見たいと切に願っている。
(山田 洋)
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR