トップページ ≫ 社会 ≫ さあ甲子園!!小島投手(浦学)と松井投手(桐光)の絆
社会
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ラジオから「8月は 6日9日 15日」と言う句?が流れていたが、日本人にとって8月は特別な月である。お盆休みや帰郷中であっても、平和について、国家について、家族についてなど様々な事を考えさせられる折でもある。甲子園大会も、また、自分たちの故郷に対する想いを存分に発露する場となっているようだ。若かりし頃を思い出し、様々な感慨にふけるのもこの時期である。まあ、青春回帰の格好のカンフル剤と言った所であろう。故郷の事、子供の頃の事、過ぎ去りし時代を振り返りつつ、じっと自分や日本の未来を見つめ直す月と位置付けてしまえば猛暑も、また、乙な気持ちで乗り切れると言うもんである。
甲子園の高校野球も日ごろは大して感じていない郷土愛が一気に燃え上がる機会となっている。甲子園は各々の郷土への想いの延長線上に位置しているのである。出場チームを抱える地方では、一時的とは言え、この郷土愛が燃え盛り出場校を絆とした郷党的な応援団が結成され、これが日本中に林立している様は、まさに壮観である。こんな現象は総選挙の時くらいであろう。高校生のスポーツが全国津々浦々で愛郷精神発露の場となっている現実を直視し、人々をこんなにも熱狂させるのは何故なのかを考えてみた。
県予選の中に一つの答えがあったので敢えてここに紹介してみたい。今年は戦力の充実した浦和学院が春夏連覇するのではとささやかれているので、関係者ばかりか多くの埼玉県民が熱い期待をもって本大会を見守っているが、浦和学院は県大会にあっても、真摯な態度と果敢な野球で県代表の座を勝ち取り、まさに県代表として真紅の優勝旗にチャレンジするに相応しい素晴らしいチームなのである。
埼玉平成高校との準々決勝8回裏に浦学野球の全てが凝縮されていたようだ。この回の猛攻で6点目が入り6-0となり浦学の勝利は決定的で、後は完全試合がどうなるかだけだったが、さらに二死満塁と攻め立て、続く打者も鋭いスイングで相手を圧倒していた。野球人にとっては最高峰である完全試合の事を気に掛ける風もなく、ただただ怒涛の如く平成埼玉を追い込んだのである。しかし、あと1点取ればコールドゲームとなって、その時点で試合終了となるのだが一切意に介さないで攻めていた。意図的に三振すれば9回に完全試合の夢を繋げるなんて気持ちは毛頭もない集中振りであった。手抜きなし、想いはただ一つこの試合に勝って甲子園に出場する事。こんな気持ちがダイレクトに伝わるシーンであった。また、平成埼玉にとっては、フルカウントだったので、四球で押し出しにすれば完全試合を阻止できたのだが、こちらも最終回の攻撃に託して全力投球で応じていた。鍛え抜かれた双方の魂が火花を散らす素晴らしい対決であり、結果は見事三振に斬って取ったのである。試合の結末は最後の打者がライトゴロと言う珍しいケースの完全試合となったが、この記録は付け足しであって、この試合こそ高校野球の真髄だと強く感じたのである。
一世一代とも言うべき快挙にも、小島投手は淡々として次の試合に向けて自分の気持ちをコントロールしている姿が印象的だった。県予選での小島投手は選抜時より、さらに大きくて鋭いスライダーで打者を圧倒していたが、これは桐光学園(神奈川)の松井投手からの直伝である。今大会前の練習試合で浦和学院は松井投手から1-0の完封負けを喫しているが、小島投手は謙虚に昨夏三振の山を築き甲子園を席巻した先輩から、スライダーの投げ方について教えを請い習得していたのである。どんな機会でも真摯な気持ちで野球と取り組む、この二年生投手は向上心の塊のようである。
勝負は時の運である。勝ち抜く為には日程や組み合わせ等の要件が大きく左右するが、大切なのはチームが培った精神で真摯に試合に臨めるか否かである。浦和学院の積み重ねた正統派スタイルの野球を再度全国に示せればよし、あとは幸運を祈るばかりである。
もし、浦学を倒すチームがあるとすれば、これはもう浦学以上の素晴らしいチームなのであって、素直に受け入れなければならないと思う。今夏は共に高校野球の真髄に触れようではないか。
( 仁 清 )
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