社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
北本市で新駅の設置を問う住民投票の条例案が9月議会に上程された。
JR高崎線の北本駅と桶川駅の間に新駅を設置する運動は30年以上前から選挙戦の度ごとに争点のひとつになってきた。長年にわたって新駅設置を主張する会が応援する市議会議員やそれを無視するわけにもいかない市長は、新駅設置基金の積み立てを始めたが、その額は現在7億円ほどと極めて少ない。既に当該地域近隣の住民の多くは高齢化が進み、新駅設置運動に向けた一時の熱意は感じられない。また予定地とされる桶川市に隣接する北本の南部地区に圏央道が建設中でいよいよJR高崎線を潜るための地下工事が始まった。本来であれば高崎線と圏央道の人と物の流通を考慮した設計がしかるべき妥当なことだろうと思うのだが、配慮がなされているとは到底思えない。
一説には70数億円の新駅建設資金がかかるという。JRは新駅の設置費用を、従来から地元自治体にその経費負担を求めてきた。30年以上も建設資金を市が負担することが出来ないために見送られ続けてきたのだ。今頃になって住民投票にゆだねる条例案の提出は、反対の投票数が多いと見込んで、決着をつけるための方便と受け取られても仕方が無い。
さて住民投票が行われた場合、隣接する桶川市の住民の意向はどのように判断されるのか。北本市の南の端に設置しようという新駅建設の判断を北本市民のみの住民投票で決定するという判断は果たして妥当なものか。本来新駅をどのように活かすか、周辺の都市開発計画や町づくりの構想にも大いにかかわる極めて政治的な問題であって、政治がその責任を放棄し、住民投票の結果で建設する、しない、を決するのであれば、市長も議会も無用になるといっても過言ではない。
住民投票によって建設側の投票が多かった場合に建設資金の70数億円はどのように捻出するのか。繰り返しになるがJRの意向は地元負担である。現在市庁舎を建設し、北本市には資金的な余裕はない。年間の市予算の総額もせいぜい170億円程度の小規模な地方自治体にとっては莫大な負担となる。建設をあきらめる投票結果になったとしても、果たして地域の将来はそれでよいのか。圏央道との有機的な結合を図り、有効な都市つくりは必要ないのか。
政治家としてあるまじき責任の放棄はいずれの結果が出ようとも市民にとってははなはだ迷惑な話だ。
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR