トップページ ≫ 社会 ≫ 株式会社は悪? 待機児童問題にみる首長の経営感覚
社会
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厚生労働省が9月12日に発表したところによれば、今年4月1日時点での待機児童の数は2万2741人で、昨年より2084人減り、3年連続で減少した。都市部の政令指定都市を中心に保育所整備がすすんだそうだが、特に有名なのは待機児童を4月にゼロにした横浜市だ。その理由としては待機児童予算を2倍強増額し、企業参入を促す環境作りを進めることにより株式会社など企業参入の認可保育所の新設に力を入れたからだ。株式会社運営の認可保育所が全国平均1.5%に対して、横浜市は3割が企業設立ということから民間開放の度合いがわかる。
一方、待機児童最多は世田谷区の884人である。この7月に株式会社の認可保育所への参入を容認した世田谷区は、企業立の認可保育園がゼロで民間企業の参入が遅れている
世田谷区長は保坂展人氏。千代田区立麹町中学時代に「麹町中全共闘」を名乗り、そのことを内申書に記載されたため高校受験に失敗したと裁判をおこしたことで知られる教育ジャーナリストである。(訴訟の方は、最高裁で上告棄却。)その後、政界に転身し衆議院議員3期の後世田谷区長に就任した。ちなみに2005年の小泉郵政選挙では東京選挙区において自民党の比例名簿登録の候補者がすべて当選してしまい、自民党に割り当てられた最後の当選1議席が社民党にまわり当選した希有な経験をもっている。
横浜市の例をみるまでもないが、待機児童問題の解決には従来の社会福祉法人だけでなく、株式会社など新たな事業主体の参入が欠かせない。しかし待機児童の多い自治体が依然として株式会社の参入を認めていない場合もあり、「計画通りに開設できないケースもある」(ある大手保育所運営会社の幹部)という。その背景には株式会社をはじめとする企業に対する先入観があるようだ。
世田谷区の例でいうと、「週刊朝日」のインタビューで保坂区長は民間企業の参入が遅れた理由として大きく2つ述べている。
1、社会福祉法人や学校法人には国から補助があるが、株式会社にはない
2、株式会社には倒産のリスクがある
横浜の例を見る間でもなく、地方自治においては住民のニーズに対応するため独自で予算措置をとることができる。国の補助がないことが、不作為の理由にはならないであろう。また法人格の如何を問わず資本主義において倒産のリスクがないものはなく、その危機感があるがゆえサービスの改善がある、という基本的な理解が欠如しているようだ。
横浜市の林文子市長は、その以前にダイエーの会長や東京日産自動車販売の社長を務めた経営者である。自治体首長の経営感覚の有無が、行政上の結果に大きく反映するということがわかる。
(林 智守)
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