社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
12月15日(日)に予定されている住民投票に向けていよいよ動き出した。北本市は1,300万円の助成金を新駅設置促進協議会に支出し、その内の約600万円がコンサルタントに支払われ、賛成運動の計画が練られて活動が開始される。とは言え時間はあまりない。70億円以上の経費を負担する市の大事業であるが、賛否を問う住民投票にしては、周知徹底のための期間として短過ぎないか。また賛否を問う住民投票の賛成側に対する助成金は元はと言えば市民の税金である。反対運動をしている、若しくはしようとしている市民には公的援助はまったくない。この辺からして既に、へんである。
市長は新駅設置促進派だと住民投票条例案の提出以来、公言してはばからないのだが、市長に就任以来、年一回、JR東日本の高崎支社に議長とともに陳情をするくらいなもので他には何もしていない。隣接市への交渉も設置基金の確保にも努力をした形跡はない。
もともと民間業者が住宅団地を開発するに当たって、新駅の設置が計画されているという触れ込みで販売を開始した。四十数年前のことだ。当時の町長も新聞の広告に顔写真入りで宣伝に加担した。十年余りして選挙がらみで新駅の設置運動が始まった。その後四年に一回の選挙のたびに政争の具と化し今日にいたっているのである。
最近は付近のマンションや団地の住民は多くが現役を引退した。子供たちも多くは独立し、夫婦もしくは単身で住んでいる家庭も多い。さらに朝夕のディサービスの送り迎えの車が数多く行きかっている。中には投票所に行くことすらおぼつかない人々もいるのだ。何を今更という感は否めない。
一方、市の北部地域の住民にしてみれば、北本駅と鴻巣駅の中間駅設置に興味はあっても南部地域の、しかも市南端の新駅設置がどうなろうと関心はなく、極めて高度な政治的判断を求められる住民投票などに積極的に係わろうと言う人は殆どいない。条例では住民投票の投票率は問題にしていない。要は投票者数が多かろうと少なかろうとの賛成票が多いのか反対票が多いのかが判れば良いのであって、市政を預かる政治家が政治判断を住民に委ね、新駅設置の政治責任を回避したに過ぎない。
さて反対派の人々にとっては、徒手空拳で原子力空母に挑むようなもので、まず資金集めから始めなければならないのだが、今のところはどちらが優勢か判断しかねる。市長はいずれの結果になろうとも市民の判断だからと、責任を逃れるつもりだろう。ねらいはこの辺にある。反対派は反対運動を盛大にして、政治責任を市長に突きつけるつもりらしいが、市民の出した結論だからと市長が逃げおおすのは目に見えている。
そもそも南部地域の数十年後を見通した具体的な計画を示すことすらなく、新駅設置の是非のみを問うこの間抜けな住民投票自体に反対する良識ある市民にとっては甚だ迷惑な話だ。
(宮内 和樹)
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR