トップページ ≫ 社会 ≫ 若山牧水歌碑建立 飯能市原市場~歌と自然を未来へ託す
社会
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石こゆる 水のまろみを ながめつつ こころかなしも 秋の渓間に 若山牧水
この歌は、歌人若山牧水が大正6年11月14日~17日にかけて現在の埼玉県秩父市、飯能市周辺を散策した時に作られた『渓谷集』「秩父の秋」に収められている。飯能市原市場の割烹旅館「かめや」に一泊した際に詠まれたという。
清らかな水が澄みきって流れている。その流れのなかに一つの石があった。その石は流れのなかに浸っていておもてにはあらわれていない。その石の上を越ゆる時水はややまろみをおびたうねりを作って音もなく静かに流れていく。小さな水の流れを表現することで、大きく豊かな自然を感じさせる牧水の代表作である。
この歌が詠まれた地に歌碑を-。秩父牧水顕彰会の綾部光芳さんや県歌人会事務局の鈴木得能さんら歌人9名が発起人となり高さ約2mの稲田御影石で歌碑は制作された。「かめや」に隣接する原市場白髭神社境内に建立され、先月16日には歌碑の除幕式が行われた。式には牧水の孫で沼津牧水記念館館長の榎本篁子(むらこ)さんや牧水生誕地である宮崎県日向市からは、北村秀秋日向市教育長が駆けつけ、地元飯能市からは大久保勝飯能市長他市議ら多数が出席した。
式典は「かめや」を背にして行われ、榎本所長、北村教育長、綾部さんらが除幕すると出席者から大きな拍手が起こった。その後、地元原市場中学校のコーラスグループ50人による合唱や参列者全員による「ふるさと」、歌人会浅見美紗子さんが牧水の歌に曲をつけた「秋の渓間に」の合唱が行われ歌碑の完成を祝福した。
地元自治会に所属し白髭神社の隣で洋品店を営む馬場才次郎さんは取材に対して「牧水の歌と原市場の自然を多くの人が愛してくれてうれしい。歌碑は後世まで残るもの。歌碑とともに、この原市場の人と自然を守っていきたい。小中学生という若い世代が協力してくれたこともうれしい。」と語った。歌碑建立は地域にとっても大きな喜びであり神社、自治会、小中学校は協力を惜しまず、式典に際しては駐車場案内、椅子運び等も地元の中学生が積極的に行っていたという。
歌と自然を愛する人々。そして、それを受け継ぐ若い世代。
我が国の誇るべき美しい文化の継承と人と人とのつながりを飯能市原市場に見つけた。
(三津橋 真也)
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