社会
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親しくしている医師からとても面白い話を聞いた。お世話になって十三年も経っているが、知り合った頃と互いに「ちっとも変わってないね」との会話がきっかけで、人の一生を一世紀近くもかけて研究した医学的にも大変ハイレベルな報告書の事をお聞きすることができた。とても興味深い内容だったので、この本を拝借して一気に読み下したが、誰もが関心を抱く話だと思い概要をここに紹介する。それは、アメリカの教授が半世紀以上をかけて追跡調査した長生きに関する研究で「長寿と性格—なぜあの人は長生きなのか」(ハワード・S・フリードマ著、桜田直美訳、清流出版)という著書で、すでに本屋さんに並んでいるそうである。この本がまとめられた発端は、1921年に米国スタンフォード大学心理学教授のターマン博士が、1500人の優秀な小学生を選び、家族や学校生活、余暇の時間の使い方、両親の結婚生活、本人の性格など、様々な情報を集めた事から始まり、その後、細かなインタビューを繰り返しながら粘り強く追跡調査を行ったことからだった。当初、その目的は知性のリーダーシップがどこから養われてくるのかを探るという壮大なものだったが、ターマン博士が調査研究を始めてより35年後に亡くなってしまい、調査対象の子供たちも40~50歳の中年になってしまっていたのだが、調査は、その後を引き継いだ研究者によって継続された。1990年に本書の著者たちのグループが、その膨大な資料をもとにして、寿命の長さと生活スタイルや性格のタイプについて分析を始めた。一人の人間の生涯がどのように経過したかを入念にたどって人間のどんな特徴や性格がどのような人生に繋がるかの調査を、さらに約20年かけて追跡して調べ続けたのである。調査の対象者達もほとんどが亡くなっていたので死亡診断書による死因の分析も、この調査に加えられる事となった。それらの貴重な資料を集大成して健康で長生きする秘訣を探り出した研究報告書なのである。では、どのような生活パターンや、どのような性格の人が健康で長寿となるかと言うと「勤勉性」という性格が健康長寿を獲得する上で重要な鍵を握っている事がこの調査で明らかになっている。慎重で粘り強く、細かいところに注意が行き届き、責任感があるというような、勤勉性の高い人が一番長生きしているというのである。理由として、まず、勤勉性の高い人は、よく考えて慎重に行動して自分の身を危険にさらすような事はしないという事があげられ、この人たちはリスクを極端に嫌うわけではなくて、むしろ現実的にリスクを計算して回避できるタイプなのであり、どこからが危険かを良く考えて行動していると分析しているのだ。しかし、それだけではなく一部の人たちは、生まれつき健康と勤勉性の高さを同時に持ち合わせている事も示唆されていて、身体の健康と勤勉性という性格には関連がある場合があるという事である。また、勤勉性の高い人たちは、期せずして健康で長生きするような人生を歩んでいるようだが、健康な生活習慣を身に付けているだけではなく、友人、結婚、職場などの人生全般において、その都度、健康的な選択をしているのだ。勤勉性の高い人たちは、健康長寿につながる人生を自分自身で造り出し、積み上げているという事なのだ。さらに、この勤勉性と言う基本性格を軸にして、その他、社交的な性格、楽天的な性格、悲観的な性格、男らしさや女らしさなどとの比較、また、幼児体験や教育レベル、結婚、仕事、あるいはストレスなどとの関連についても述べられているが、結論として、粘り強く、思慮深く、勤勉であり、さらに緊密な社交ネットワークを築き上げていることが重要で、これらの要素が組み合わさって健康長寿につながる生き方のパターンが形成されていくというのである。さて、あなたの身辺に居る長寿の方を思い起こし、何故、あの人は長生きなのだろうかを、この調査結果と比べてみればかなり面白いし、これらを参考にすれば自身の健康と長寿に結構役立つと思うのだが如何だろうか。
(仁 清)
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