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社会
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さいたま市の公民館や学校等公共施設の老朽化が進み、今後のあり方について検討する必要がある。さいたま市行政改革推進本部は1月13日さいたま市産業文化センター1階ホールにて「さいたま市公共施設マネジメントシンポジウム」を開催し、市民ら200人が参加した。安全・安心で持続可能な施設サービスの充実に向けて市民と行政が問題意識を共有し、市民参加の公共施設検討の機運を高めていく。
冒頭にてさいたま市長 清水勇人氏は、「公共施設の老朽化が全国的な問題となっているが、さいたま市も例外ではなく、公共施設をこれまでと同様に改修・更新すると今後40年間は、現在の2.2倍の経費がかかる。市では全国に先駆けて公共施設マネジメントを導入し、サービスの質を落とさずに経費を1.1倍まで削減するアクションプランを立案した。施設を廃止、縮小ということも出てくるが、それだけではなく施設の複合化等で機能を維持しながらワクワクする公共施設にすることを市民の皆様と一緒に考える活動にしたい」と述べた。
アクションプランでは、さいたま市の全ての施設を対象に、規模を縮小できる施設、分野ごとに似通った機能を一つにできる施設、民間に運営を委ねて費用を下げることができる施設、民間に譲渡できる施設等に分類し、方向性を定めている。これを各施設が実施することで、市全体としてサービスの質を下げずに、施設の総量を減らし、費用の削減が実現するということだ。
続くパネルディスカッションでは、最初に「公共施設マネジメント計画・アクションプランの策定」について、さいたま市公共施設マネジメント会議メンバーによる意見交換が行われた。会議の委員長を務める東洋大学経済学部根本祐二氏は「さいたま市の公共施設マネジメントは、今後実践段階に入るがそのためには市民の合意形成が欠かせない。しかしながら、時間や規模が壮大過ぎること、予算の問題等ネガティブなイメージがあることから市民の関心を得られにくい。行政は、公共施設マネジメントについて夢のある活動としてメディアを通して発信すること、条例を制定して原則を明示すること、場合によっては施設利用の受益者負担を求めること等、市民にはっきりわかる形で伝えることが大切」と総括した。次に「与野本町小学校を核とした公共施設の複合化」についてワークショップ参加者による意見交換が行われた。昨年、築57年を経過し老朽化が進行する与野本町小学校について、その建て替えを機に周辺の老人福祉センターや子育て支援センターと複合化することを公募市民と地域市民がワークショップで検討を行った。参加者は「従来の小学校という施設の概念に留まらない地域が必要とするサービスということについて考えることは、とてもワクワクする経験だった」と口々に述べた。ファシリテーターとして専門的な立場から市民の活動をサポートした芝浦工業大学工学部教授志村秀明氏は「公共施設が位置する地域には地域ごとの事情があるが、与野本町という地域においてワクワクする楽しいコミュニティが出来ること、実際に市民参加のワークショップができたということがこの活動の意義である」と述べた。さいたま市は広く、地域ごとの事情は異なるが他の地域でも市民参加のワークショップによる検討が可能であることを示した。
さらに清水市長を交えての座談会が開かれ、模型を活用した「大宮東口プロジェクト」について東洋大学理工学部建築学科専任講師藤村龍至氏が紹介した。大宮区役所の移転跡地と隣接する大宮小学校敷地の約2万6千平方メートルを利用した再開発計画案について、東洋大学と東京芸術大学建築学科の学生が立体模型を製作しながら、市民との5回に渡る公開ミーティングを行い、市民の意見を反映させたプランとして完成させた。立体模型は同センター3階に展示された。
最後に清水市長は「計画を実現させるためには、市民の皆さまの理解、合意が必要。公共施設の将来を考えることはワクワクすることであることを知って頂きたい。そのために本日のシンポジウムで紹介された市民参加のワークショップや模型の活用等を取り入れて説明責任を果たしたい」と力強く宣言してシンポジウムは終了した。
さいたま市は公共施設マネジメントを導入することで公共施設の改修・更新、維持管理費を削減する計画を立案し、全国に先駆けて実践の段階に進むことに成功した。清水市長のリーダーシップの下、シンポジウムで紹介されたワークショップや模型を活用した手法により地域住民の理解、合意が進むであろう。さらに、地域経済の振興という点から企業の声も取り入れた「さいたまモデルの公共施設マネジメント」を実現させ、全国に発信することを期待したい。
(三津橋 真也)
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