トップページ ≫ 社会 ≫ 道の駅うつのみや ろまんちっく村~人気の理由を探る
社会
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年間100万人以上が訪れる道の駅 うつのみや ろまんちっく村。46haという広大な敷地に、温泉やプール、宿泊施設、体験農場やブルワリーがあり、都会では体験できない里山農村の暮らしを体験することができる。地元の新鮮な野菜が並ぶ直売所「あおぞら館」はスーパーよりも安く、品ぞろえも豊富で人気を集め、地元の方だけでなく多くの観光客を集めている。
しかし、この人気の施設も数年前までは、経営不振にあえいでいたという。「ろまんちっく村」は宇都宮市の市制施行100周年記念事業として平成8年に農林公園として開園し、第三セクターによって運営されてきたが、年々利用者が減少し経営は悪化した。これに対して市は平成19年より行政に代わって民間企業が施設の管理運営を行う指定管理者制度を導入した。平成20年以降、指定管理者㈱ファーマーズ・フォレストが運営改革を行ったことで、来場者が増え、収支が改善した。
同社が行った改革について経営戦略室室長 原田和之氏に話を聞いた。原田氏によれば、最も重点を置いたことは「お客様目線でのサービス」であるという。そのことを生産者である地元農家に理解してもらうために直営の直売所をつくり、売り場づくりや販売方法など運営者自らがこうすれば売れるということを示したという。さらに、お客様が商品を購入すると何が売れたか1時間ごとに集計がメールで配信されるシステムが導入され、それをもとに農家はすぐに出荷を行う。運営者と農家がお客様のことを常に意識して生産・販売することで、いつでも新鮮な野菜が直売所に並び、それが施設の大きな魅力となっている。平成24年9月 それまでの農林公園から道の駅にリニューアルしたが、これも遠方からの観光客にも利用しやすいようにという「お客様目線でのサービス」の一環だ。駐車場や掲示物、ドッグラン等を整備した。これによって、さらに多くの観光客が施設を訪れるようになった。特にリニューアルオープンからの1カ月は1日の来場者がそれまでの1.5倍になったという。
また、道の駅の多くは目的地に行く途中に立ち寄る通過型だが、道の駅うつのみやは目的地として来てもらう目的型の道の駅を目指しているという。そのために数多くのイベントを展開している。ふれあい自然塾やパン作り、そば打ち等が毎週開催される。大規模なイベントとしては、みのりの森から花火を打ち上げる「花火イリュージョン」や栃木県を中心とした手づくり作家によるハンドメイド作品の展示・販売を行う「Bon Marche(ボンマルシェ)100人展」があり、昨年は2万人がこのイベントに訪れたという。
さらに、道の駅を出発点にして宇都宮市北西部を観光する「えにしトラベル」の事業も平成24年4月より行っている。目的型がさらに発展し、そこを拠点に周辺を観光する着地型の道の駅という発想である。
お客様目線でのサービスを基本として、イベントや新しい取組みを次々に展開する。だから道の駅に行けば新しい体験ができるという期待感、ワクワク感が生まれる。それが人気の理由だと筆者は考える。
取材の最後にブルワリーで造りたてのビールを飲んだ。地元宇都宮産麦芽を使ったクラフトビールである。ビールの本場、ドイツには「ビールは工場の影が落ちるところで飲め」と言う言葉があるという。ビールは新鮮であれば新鮮である程おいしいという意味だが、工場の中で飲む、搾りたてのビールは、雑味がなくシャープな苦みの中に素材の甘さが感じられて本当においしい。地元の恵みをその場で味わう醍醐味を堪能した。
「道の駅」は「鉄道の駅」との対比をなす言葉であるが、もともと駅は街道沿いにある宿場を指す言葉だった。街道を人が往来し、交流し、そこに文化が生まれた。多くの人を集める道の駅うつのみやは、新しい交流の拠点として現代の宿場の役割を果たしている。中山道の大宮宿、浦和宿があったさいたま市に道の駅はまだない。さいたま市の物産、文化、情報の発信拠点として、そして道の駅うつのみやのような優れた運営を行う他道の駅との連携の拠点としての道の駅開発が望まれる。
<道の駅 うつのみや ろまんちっく村>
〒321-2118 栃木県宇都宮市新里町丙254番地宇都宮市農林公園内
TEL:028-665-8800 FAX:028-665-8678
(三津橋 真也)
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