トップページ ≫ 社会 ≫ 恋愛小説だけにとどまらない淳一の世界~渡辺淳一先生を偲んで
社会
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先月30日に逝去された渡辺淳一先生。
愛とエロスの作家というイメージが強いが「渡辺文学」は奥深い。
札幌医大の整形外科医出身ということから医療的な観点は鋭かった。
その延長線上に「老いと性」というテーマにも取り組みつつあった。
少子高齢化社会。「老いてますます意気軒高」「今でも恋愛中」と先生はさらりと言ってのけた。
「老人になったら都会に住むべき」「老人ホームは都心に」これらは、愛とエロスの枠を超えて、現代社会への警鐘でもあった。
「天上紅蓮」という作品は時の最高権力者白川法皇が一人の姫を寵愛する物語であるが、一方「孤舟」では定年後の男性の悲哀を描いた。
自分の身には起こることのない物語を紡ぎ、一方では日常にありえそうな小品を書く。これも「渡辺文学」の魅力の一つだ。
そして、「遠き落日」では野口英世を。「女優」では松井須磨子を。
「君もコクリコわれもコクリコ」では与謝野鉄幹、晶子夫妻を。
そして「花埋み」では埼玉の偉人の一人、日本初の女医荻野吟子を題材にした。
これらの伝記物は、淳一イズムによって主人公が浮き彫りにされていて大変読みやすく、偉人の光と影を知ることができる。
人生1世紀時代。60歳で定年を迎えてあとは余生という発想は今や旧い。
「生涯現役、一生感動」その教えを昭和から平成にかけて恋愛小説を主軸に訴え続けた「渡辺文学」は多くの人々に「人生の価値」を見直すきっかけを作ってくれた。
(伊勢谷 珠子)
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