社会
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ゴールデンウィークは何処へ行っても混んでいて人、人、人でいっぱいだった。行楽も食事も買物だって思い通り行かないのでストレスになる。しからば家でとテレビを見ながら過ごす事となった。お陰でメジャーリーグの野球を存分に楽しめた。
西武球場で初めてイチローを見てから20年が経った。清原との壮絶な打ち合いを間近に見てイチローこそ異星から来たバッターだとの印象が脳裏に焼き付きDNA化してしまっているのである。イチローは年を追う毎に稀代のプレーヤーである事を証明する事となったが、出会いがあまりにも強烈だったので、その後もウォッチングを欠かさないでいた。連休中に放送で見たイチローは打率こそ三割をキープしているものの、野手としてのプレーに今までとは違う何かを感じ急に寂しい思いにとらわれてしまった。「桐一葉落ちて天下の秋を知る」そんな感じである。
それは5月4日(日本時間)田中マー君の投げた対レイズ戦で見せた守備である。レフトを守ったイチローが珍しく頭上を抜かれてしまった。大きなフライだったがイチローなら充分に捕れる当たり(記録はヒット)を三塁打にしてしいまったのだ。放物線を描く打球で本来なら問題なくキャッチできた筈である。イチローが打球に頭上を越されるケースはホームラン以外はほとんど無いのだが、足をもつれさせて転んでしまい、這いつくばって打球を追うという信じられない場面を見てしまったのである。
さらに5月6日(日本時間)にも同じようなプレーが繰り返えされた。ライトを守ったイチローは右翼線上をフェンス際まで飛んだ打球を中途半端な追い方をして処理を誤り三塁打としてしまった。しかも、尻餅までついた無様な格好をさらしてしまったのだ。エリア51と言われるイチロー神話が崩れ落ちてゆくようでファンにとっては大変辛い思いであった。試合後の談話では単打で止めるか長打にさせるかで躊躇してしまったと語ったが、ビデオはその通りを映し出していた。この二つのケースを見て、イチローの瞬時の判断力が相当鈍ってきていると直感したのである。
イチローと言うと凄いバッターとのイメージが先行するのだが、守備が打撃以上に素晴らしい選手なのである。かって、オバマ大統領から君はどうしてそんなに肩が強いのかと尋ねられた事があったが、イチローの強肩はレーザービームと称されメジャー関係者に鳴り響いているのである。しかし、この裏側には絶えずイチローの人知れぬ努力が隠されているのである。風向、ライト、陽ざし、芝の状態など、試合に臨んでイチローはこれでもかと言うほどの準備を怠らないのである。先月のヤンキースタジアムでもライトフェンスへの打球を見事にダイビングキャッチして、レベルの高いニューヨークのファンからイチローの守備は金を払っても見るだけの価値があると激賞されたばかりであった。
だから、続けざまに起きた二つの珍プレーにイチローの運動神経が磨り減っているのではと感じたのである。これも常時出場からベンチウォーマーに代わり動体視力や思考回路が急激に劣化してきたからと思わざるを得ないのである。
1973年生まれの鈴木一朗は既に40歳を超えている。1991年にオリックスにドラフト四位で入団。1992年にはウェスタンリーグの首位打者。1993年に野茂投手からプロ入り一号本塁打、二軍戦ながら40試合連続安打。1994年に登録名をイチローに、シーズン安打記録を44年ぶりに破り214本の大記録で首位打者(打率3割8分5厘)、最年少のMVP。イチローのプロ入り当時を省みると「栴檀は双葉より芳し」である事に今更ながら驚いている。あまりにもメジャーリーグでの活躍が永く華々しかったので、ついぞ日本時代を忘れ勝ちになるのだが、思えば思うほど長い道のりであった。よくぞ、ここまで頑張ったものである。イチローを心からねぎらう日が一歩一歩近づいている、そんな気持ちにされてしまったゴールデンウィークであった。
( 仁 清 )
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