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地域産の木材利用とその木材価値について考える「木で、未来をつくろう!in埼玉県」シンポジウム(埼玉新聞社主催)が平成26年5月14日、埼玉県県民健康センターで開催された。林野庁、埼玉県木材協会、埼玉大学教授、木材販売業者等によるパネルディスカッションが行われ、木材利活用「ときがわ方式」で全国に評価の高い埼玉県ときがわ町の関口定男町長の講演も行われた。
「ときがわ方式」とは老朽化した公共施設を建て替えではなく耐震改修と内装木質化することによって低コスト、短期間で新築同様に建物をよみがえらせることに成功した工法である。また木材を利活用することで、快適な生活環境、地域産業の振興、山林の活性化を進める地球環境への配慮といった効果が大きい。
関口氏は、ときがわ町長として現在3期目。ときがわ町(平成18年2月、玉川村と都幾川村が合併)は町の面積の約7割が山林であり、かつては林業が盛んな町であったが鉄筋コンクリート造り等の近代建築化で木材の利用が減少し、木材価格の低下が進み山林の放置荒廃が大きな課題となっていた。木材の積極的活用で林業を振興させ町を活性化させようと、当時玉川村長であった平成12年の玉川小学校校舎内装木質化を皮切りに、合併後もときがわ町長として町内の公立学校や公共施設の耐震・木質化に取り組み続けた。町内の公共施設木質化を完了させ、地域産の木材利用の先駆者「ときがわ方式」として国からも高い評価を受けている。
ときがわ町の公立学校関係者からは「結露がなくなり転んで怪我をする生徒がいなくなった」「木質の床は柔らかいために足にかかる負担が少ない」「足元が冷えない」、また生徒達からは「きれい、清潔感がある」「心地よい、落ち着く」「明るい、過ごしやすくなった」「木のいい香りがする」といった感想が寄せられ、教師・生徒達の情緒面でも良い効果が現われているという。余談だが、埼玉県県民健康センター内にある県町村会事務所には関口町長が町村会長時代に内装木質化を取り入れた部屋がある。
私たち日本人は軽くて丈夫な木材に慣れ親しんで生活してきた。気候や風土に密接な「木の文化」を育んできたはずだ。木材はコンクリート材質に圧迫され利活用されることが減少したが、ここにきて木の持つ「ぬくもりや癒しの効果」や日本の気候に合った「調湿効果」が見直され始めた。現在、戦後の植林事業や木材利用の減少で木そのものが過剰となり、伐採されない木の育ち過ぎによる森林土壌の減少で山林が破壊していくなどの現象を引き起こす可能性が高くなってきている。適度な伐採と植林が山林の活性化を促すこともあり、森林資源を有効に活用するべきであると、平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されたこともあって、木材の利活用に注目と期待が高まってきている。
埼玉県では平成26~27年度の期間で県産木材を利用した住宅等への補助(埼玉県ホームページ http://www.pref.saitama.lg.jp/page/mokuzai-hojo.html/ )、
林野庁においては「木材利用ポイント事業(http://mokuzai-points.jp/)」として、住宅の建築や購入、内外装の工事、木材製品の購入等、地域産の木材利用に対してポイント制による支援を行うとしている。
今後、埼玉県産木材の利用に注目が寄せられて林業振興につながっていくことを大いに期待する。
(多田 清成)
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