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「裁判員制度の在り方に疑問を投げかける「裁判員制度に断固反対する市民集会Part5」(裁判員制度に反対する埼玉市民の会主催、以下「反対する埼玉市民の会」)が平成26年6月14日、埼玉会館にて、埼玉弁護士会が後援して開催された。
大倉浩埼玉弁護士会会長は「埼玉弁護士会の所属会員からはこの裁判員制度に対して意見が分かれている。職業裁判官だけの世界から裁判員制度で司法制度の改善がされれば良いと唱える会員もあれば、裁判員制度は必要でないと意見する会員もいる。この制度の問題にきちんと向かい合うことが重要であるとの認識から、埼玉弁護士会として後援の形をとった」と挨拶した。
「反対する埼玉市民の会」は裁判員法(第1条)によれば「この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする」とあり、司法に対する国民の理解を得ることが目的であり、公正な裁判の実現や、えん罪等の人権侵害を根絶する等の目的ではないと話す。
今回の集会では裁判員経験者から体験談が語られ、様々な障害を生んでいるという一面が垣間見られた。経験者は「裁いた自分が、裁かれた人(被告人)に狙われるかもしれないという不安、裁判は罪を裁くことですと言われながらも、実際にはその人の人生そのものを決めてしまうという大きな心の葛藤など、不安や悩みがある」と語った。また資料の中には、残虐な証拠写真、被害者の断末魔の音声などもあり、心的ストレスを生じてしまい、そのストレスから来る身体的不調や精神的負担が大きくなる。「司法当局のそれらに対するケアが充分では無いのでは」と話す。「罪を憎んで人を憎まず」と言われても、法律や裁判に知識の薄い一般市民が、人を裁くという立場に選ばれることは苦悩も大きいだろう。
裁判員制度は全く必要がないから廃止せよと断じるのか、制度導入の目的を遂行するに当たっての対策をしっかり整えるべきだと訴えるのか、いづれにせよ結論が出るまでに時間がかかるかもしれない。裁判員に選ばれた人たちが苦しんでいる事実が今そこにあることを踏まえ、今後の改善にこそ早急な対応が必要なのではないのだろうか。
(多田 清成)
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