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9月29日より臨時国会がスタートした。安倍首相は所信表明演説の中で「地方創生と女性の活躍」をテーマに掲げている。「地球儀を俯瞰する外交」を標榜して多角的戦略外交を目指す首相の訪問国数は、歴代最多の49カ国になった。その戦略外交の中で最近注目を集めているのが日印関係である。インドのナレンドラ・モディ首相は今年の5月に政権交代により首相に就任し、最初の主要国訪問先として日本を選んだ。
モディ首相が日本を訪れたのは初めてではない。過去2回訪れているが、当時はインド北西部に位置するグジャラート州の州首相としてであり、日本国内の企業を誘致するためであった。モディ首相は2001年にグシャラート州の州首相に就任し、官民パートナーシップによる民間主導の経済成長を推進し過去7年間で年平均10%の成長を実現した。主な政策はインフラの整備と行政の効率化による外資の誘致だ。インドは電力事情が悪く特に停電が多いが、電力セクターの改革により発電能力は2.5倍に拡大させグシャラート州では停電はほぼなくなった。同時に4車線以上の道路距離を400キロメートルから1400キロメートル超に延伸させるなど道路網の整備も進めた。行政の効率化については、汚職を一層し許認可のプロセスのスピードを上げることによって外国から企業が参入しやすくなった。日本からの進出企業としては軽自動車のスズキが有名だ。
失速する経済、汚職の蔓延など問題を抱えたインドをこの「グジャラートモデル」で立て直すべく、当時野党であったインド人民党の首相候補として今年春の下院選を戦い、10年ぶりの政権交代をなしえた。モディ政権は「メーク・イン・インディア(インドでものづくりを)」をキャッチフレーズに製造業育成策に取り組みはじめている。9月の訪日時には、わが国も今後5年間でインドに約3.5兆円の投融資を行うことを発表し、新幹線導入への道筋をつけようとしている。
インドに限らず、米国でも州知事から大統領になるケースは多々あるが、わが国では首長を経験した首相は細川氏のみである。地方創生について石破地方創生担当相は「地方から(具体案を)言ってくれば、人も出すし、お金も支援する。だが、やる気も知恵もないところはごめんなさいだ」と発言をし、地方自治体などに積極性を求めている。しかし、もっと踏み込めば地方発の成功モデルを中央で活かしていくような政治経済の改革がわが国には必要である。そのためには地方自治制度を大胆に再考することが求められるのではないか。各自治体で経営力を競い合い、勝ち抜いた政治家が日本の首相になるような時代がくることを期待したい。
(小林 司)
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