社会
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4月に消費税が5%から8%に上がったが、さらに上げて来年10月から10%にするかどうか、安倍政権は決断を迫られている。4月の増税で消費が落ち込み、回復に向かっていた景気にブレーキがかかったことから、増税先送り論が勢いを増している。これに年内の衆議院解散、総選挙という思惑が加わり、事態は流動化している。
日本の財政赤字が深刻化し、財政立て直しのための増税という理屈は素直には受け入れにくい。家計の収入は上がらない中、急激な円安による輸入価格の上昇、そこに消費税増税となれば、支出を切りつめるしかない。その一方で企業減税を実行しようとしているのだから不公平感は増すばかりだ。
消費税自体にも不公平な面がある。その1つが消費税の輸出還付金だ。企業が製品を輸出した場合、消費税はかからない。海外の消費者から消費税を徴収できないのだ。その製品を作るための仕入れには国内の消費税がかかっているので、その消費税分が輸出企業に戻ってくるという制度だ。表面的にはプラスマイナスでゼロなのだが実際には違う。輸出企業に原材料や部品を納入する下請けには中小企業が多い。立場が弱く、消費税をちゃんと取りにくい。
その結果、還付金が輸出企業の儲け(益税)になっているのが実態だ。その金額たるや、増税前の5%の時に2.5兆円と試算されているから、8%、10%ではすごい数字になりそう。こういう事情を知れば、輸出企業を多く擁する経団連が再増税を強く主張するのもわかりやすい。
しかし、これは日米間の通商問題になる可能性がある。米国は還付金を輸出企業へのリベートとみなしており、今後、何らかの対抗措置を取ることが予想される。
税制というのは関係者以外にはとてもわかりにくい。税負担の不公平感を持たれないよう、あえて複雑な仕組みにしているのかとの疑念さえ浮上する。
(山田 洋)
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