トップページ ≫ 社会 ≫ 社説 ≫ 2014衆院選 ― 経世済民が政治の原点
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いよいよ明日が投票日。各紙情勢分析によると、序盤から引き続いて自民優勢はかわらずのようである。一方、共同通信社の世論調査によるとアベノミクスについて「評価しない」と回答した人は51%で、「評価する」の37.1%を上回った。都市部の消費意欲は戻りつつあるようだが、地方、特に商店街にまではその恩恵はまわっていない。それが調査結果に表れているようだ。
しかし、対立軸たる野党が明確な経済政策をうちだせていないことが問題だ。『「厚く、豊かな中間層」を復活させる』-民主党のマニュフェストであるが中身を見ると、前回の政権時に行ったバラマキ、富の分配の策が羅列されている。経済のパイを具体的に大きくする政策は皆無といっていい。さすがに有権者はもう騙されないということか。
中間層が減少し、格差が拡大しているのは世界的な課題である。先進国においては経済成長率が低いレベルでとどまり、その結果資本をもっているものがさらに資本を増やしていくことが格差拡大の原因。加えてわが国においては人口減少によって、相続財産も1局集中する傾向にある。この格差を解決するには所得課税、消費課税に加えて資産課税を強化(具体的には累進課税)することだと最近日本語版もでた「21世紀の資本論」を書いた経済学者トマ・ピケティは提唱している。共産党は「富裕税」という新しい資産課税を掲げているが、国際協調による課税が担保されないと資産フライト(海外に資産を移すこと)が起こり、空洞化が起こるので実現にはまだまだ課題が多い。
であれば、現在できることでいかに庶民の生活を守るか。これが経世済民(世を治め,民の苦しみを救うこと)ではないだろうか。たとえば年金運用における株式の比率をあげることについて、埼玉1区選出の自民前職の村井英樹氏は出陣式において「リスクとリターンのバランスをとることにより、政権交代後、株価の上昇により公的年金の運用益は25兆円以上出た。」と述べている。一方、民主党の細野豪志元幹事長は自身のブログで、「国民の年金が株に投入され、(中略)富裕層の資産は増えますが、私たち国民の年金はリスクにさらされています。」と述べている。富裕層の資産が増えるのは株式などのリスク資産(元本割れする可能性もあるが、値上がりも見込める資産)に投資できる余裕があるからで、庶民にはその余裕がないのが現実かもしれない。しかし一人ひとりのお金は少ないが、それを集めることによって富裕層と同じように資産を増やせることができるということではないか。
年金運用にかぎらず、財政再建、雇用問題や内需拡大など、わが国の経済回復はまだ道半ばである。だからこそ、本当に国民の経済生活をよくする候補はだれか見極めて、重要な1票を行使してほしい。
(小林 司)
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