社会
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今年も残りわずかだが、日本の株式市場は年末になって値動きが荒くなり、乱高下を繰り返している。日経平均株価で連日のように300円、400円幅の値上がり、値下がりをしている。率にすれば2%前後だが、個々の銘柄では値動きはもっと激しく、10%を超えて動くものもある。
その理由には国内要因、海外要因があり、さらに市場内部の事情が複雑に絡み合う。投資家たちは警戒心を抱きながらも、安くなったら買おうという姿勢のようだ。
国内年金資金運用での株式組み入れ枠の拡大や日本銀行のETF(各種株式指数に連動する上場投資信託)買いの積極化など、国をあげての株価維持対策もあり、株価上昇への期待は根強い。円安進行により、輸出企業中心に今3月期の業績好調との予想も追い風だ。
反面、アベノミクスの綻びも意識され始め、基調としては上昇と見る人が多いものの、ある程度の上下動は十分予想されるところだ。市場シェアの60%強を占める外人勢も、値上がりして儲かったら売ってくるのは当然だ。
ところで、株式投資では値上がりしなければ儲からないと思い込んでいる人が多い。それだと、下げ相場ではじっと我慢を決め込むしかない。そこで、株価が下落すれば利益が出るというカラ売りの投資手法を組み合わせると、投資チャンスの幅が広がる。
企業の実態以上の株価になっている銘柄があったら、信用取引のカラ売りをして、値下がりしたら買い返済をする。これにはまず、取引のある証券会社に信用取引口座を開設することが必要だ。開設にはいろいろ条件があるが、インターネット取引の証券会社なら、簡単にOKになるはずだ。
もっとも、カラ売りは怖いというイメージがあるのは確かだ。失敗した場合の損失額への危惧だ。株を買った場合の最悪ケースは企業倒産で、購入代金は吹っ飛んでしまうが、それ以上にはならない。カラ売りの場合、株価が2倍、3倍になったら損失がそれに応じて膨らんで行く。
そういう銘柄は特定の筋が仕掛けているものか、何か特別な大材料が飛び出したものだ。かつては仕手筋が暗躍し、狙った銘柄を暴騰させたものだが、今は市場から姿を消してしまい、その手の強力な筋は見当たらない。大材料内包株は事前の調査により、可能性のあるものを敬遠するしかない。
カラ売りで最も難しいのが銘柄探しだ。証券会社は買い銘柄をさかんに取り上げるが、売り銘柄はほとんど紹介しない。自分で探すしかないが、毎週発行されている株価チャートブックが有力な武器になる。株価水準と業績数字との比較、値動きの特性などともに、信用取引による買い株と売り株の残高比較が欠かせない。信用取引は期限の6か月以内に反対売買をしなければならないから、売り残高が多いと、今後は買い返済のために株価が下がりにくくなるのだ。
毎日の値上がりと値下がりの上位銘柄はネット証券などでランキングを表示しているが、これを吟味していくと、材料もないのに上がったり、材料の評価以上に上昇しているものが見つけられる。また、常に上下動を繰り返しているものもある。その辺は狙い目だろう。
そんなスリリングな銘柄探しは苦手だという人には、ベア型のETFを買うという手がある。ベア型とは日経平均やTOPIX(東証一部全銘柄の株価に発行株数を掛けて算出した指数)が下がると逆に値上がりする仕組みになっている。これなら信用取引口座は必要ないし、投資金額も10万円以下で可能だ。しかし、個々の銘柄よりも値動きは少ない。もっと面白味がほしい人のために、株価指数の2倍の値動きをするETFも登場している。
これらはあくまでリスクヘッジのためだが、株価値下がりの時には、ただ見守るだけでなく、何か事前に手を打っておくに越したことはない。
(山田 洋)
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